出雲市から倉吉へ、観光列車「あめつち」に乗り込む。山陰を巡るこの旅は、単なる移動手段ではない。非電化区間を走る列車ならではの味わいが詰まっている。
最近の電車は驚くほど静かで、乗り心地も快適。すべてが便利に進化していく時代に、私たちはしばしば「古いもの」に目を向けることを忘れてしまう。しかし、あえてその「古さ」を楽しむ時間があることの贅沢さを、私はこの旅で再認識した。
2024年8月のある暑い日、倉吉駅から鳥取に向けて走る「あめつち」をカメラに収めた。そのとき、心を打ったのは気動車から聞こえる心地よい音だった。駅をでていくその音は、けたたましいエンジン音とともに力強さを感じ、過去と現在を繋ぐタイムカプセルのように響き渡り、私の心に深く刻まれた。
「あめつち」に乗ることは、単に美しい風景を楽しむだけでなく、時代を超えた感覚を味わうことでもある。便利さを追求する現代だからこそ、こうした「古さ」の中にある豊かさを感じる旅の価値を、改めて感じることができたのだ。
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