00:54 不安とは?
03:22 問題を報告すると安心する
04:04 どうやったら受け入れていけるのか
本日は「不安に耐える力を身につけるには?」というテーマでお話しします。
「耐える」という言い方は本当はよろしくないのです。
日常では「不安に耐えなさい」というように言うので「耐える」としていますが、「抱える」の方が正しいです。
不安は耐えるものではなく、どちらかと言うと「包んで抱えて一緒に生きるもの」です。
ですから、不安を抱えるにはどうしたら良いかという話をしようと思います。
■不安とは?
なぜ抱えるのかと言うと、不安はなくならないからです。
不安とはそもそもどういうものか、国語辞典を調べて不安の特徴を2点あげました。
・見えない、わからない
不安は見えないですし分かりません。漠然としたものです。
漠然とした恐怖感、安心できない気持ちを不安と言います。
・先に「痛み」がある予感
先に「痛み」や「苦痛」の予感があるものを不安と言います。
「こんな嫌なことがあるのではないか」という予感のことです。
不安を解決するにはどうすれば良いか、抱える、何とかやりくりするにはどうしたら良いかというと、この逆をすれば良いのです。
見えない、わからないものに対しては、「明確化」していく。
実際どういうことが起きるのか、どこまでわからないのか、何がわからないのか、ということを明確化していくことが大事です。
先に「痛み」があるならば、例えばこれからテストがあるけれどほとんど受かる見込みがないという場合、「落ちてしまったらめちゃくちゃ親に怒られる。怒られた時にはこれくらいの痛みがあるのでは、これくらい傷つくのでは」など具体的に明確化します。
今から勉強してもどうにもならないとわかったら、受け入れるしかありません。「しょうがない」と受容するのです。
納得、覚悟をすることが大事です。
臨床をしていて患者さんが不安になっているとき、何か困難を抱えているとき、問題があるときに僕らが診療の中でどのようなことをするかというと、「明確化」して話を整理します。
そして、整理し終わった後にどうしたら良いかというと、やはり受け入れるしかありません。
受容して覚悟することが重要です。
ですが、覚悟はなかなか受け入れられません。
死の受容のようなもので、最初は怒りや反発があったりして、時には医者に「お前はヤブだからそうなんだ」と言ったりするかもしれません。その後に覚悟が決まってきたりします。
明確化して覚悟を決める。
このようなことを治療の中でやっていきます。
■問題を報告すると安心する
でも患者さんは、人間の本能なのかどうかわかりませんが「問題を報告すると安心する」のです。
「今からこんなことが起きるのだ。」
「今からこんな嫌なことが起きるのだ」
「これまでこんな嫌なことがあって、私は将来に対してこんな不安がある」
と言うと、「問題報告は済んだな」と思って安心するようです。
これを「共感」と言ったりすることもあります。
感情的に受け入れてもらうと共感という言い方になりますが、単純に問題報告をしただけで安心する事はあります。
病院に行くだけで安心する、良くなってしまうということがあるのです。
■どうやったら受け入れていけるのか
明確化して受け入れるということですが、実際どうやったら受け入れていけるのでしょうか。
1.不安の経験を増やす(正しく解消される)
経験したことがないとわけが分かりませんし、明らかにしようもなければ、納得もできません。
これは受け入れざるを得ない痛みなのかがわかりません。ですから、経験を足していくことが重要です。
子どもの時は注射やマラソン大会といった「痛み」にびくびくしていまいますが、大人になったら納得します。「この注射は仕方ない」「走らなければしょうがない」と。
でも、ただ経験を増すだけではダメで、「正しく解消される」ことが重要です。
不安を経験するのですが、それがただ暴力で終わる、ただ嫌な思いをして終わるとトラウマになってしまいます。
ですから正しく不安が解消されることも大事です。
2.不安の知識:他人の経験を増やす
自分だけの経験ではなく、不安の知識、つまり他人の経験を見聞きして自分の中に蓄えていくようにします。
今はネットで検索すると結構出てきます。皆が悩んでいることは大体同じなのです。
親の問題、介護の問題、自立の問題、劣等感の問題、住宅ローンの問題、何でも良いのですが結構出てきます。
人の悩みのパターンは有限で、有限だからこそ僕らは職業として成立します。
その他には、物語、小説、歴史を学ぶことも一つです。
直接他人と会話をして見聞きを増やすということもありますが、それが難しい場合はネットでも出てきます。
いろいろなものを使って経験や知識を増すことが良いと思います。
・正しく解消されるには?
正しく解消されるにはどうしたら良いかと言うと、それが困難な場合は「手伝ってもらう」のが良いです。
自分で正しく解消できない場合は手伝ってもらいます。
手伝ってもらうとは何かと言うと、カウンセリングや治療を受けるということです。
治療の場では言語化したり、場(時空間)の共有や確保をしたりします。
痛みの感情を味わっている瞬間を、一人で味わうのではなく一緒に味わいます。そうするとなんとなく楽になるのです。
このようなことで正しく解消されていきます。
不安を抱える力を身につけたい、僕もそうです。
どうやったら自分が今より不安に強くなれるのか、避けがたい辛さ、悲しみ、別れを受け入れられるようになるのかというと、やはり正しく解消していく、そして知識を身につけるということだと思います。
僕は日々の臨床をやりながら患者さんの不安を一緒に経験させてもらうことで、心を強くできています。
精神科医であることでこのようなことを学ばせてもらい、本当にありがたいなと思います。
そのありがたさを皆さんに還元すべく、また臨床をしたり動画を撮ったりしているということです。
今回は、不安に耐える力を身につけるには、というテーマでお話ししました。
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『精神科医がこころの病気を解説するChとは?』
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp...
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版
倫理規定について note.com/menta...
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