相双地方の伝統の祭り相馬野馬追では威風堂々と侍たちが祭りを盛り上げました。
しかし、出陣する騎馬武者の数は年々減っていて、その維持が課題となっています。
相馬野馬追の魅力にひかれ伝統を絶やすまいと、初陣を果たした一人の騎馬武者の思いを取材しました。
1000年以上の歴史を持つ相双地方の伝統の祭り、相馬野馬追。
新型コロナウイルスの影響も落ち着き、2023年は例年通りの規模で開催されました。祭りには361騎の騎馬武者が出陣し、威風堂々と熱い夏を盛り上げました。
しかし多い時では600騎ほどが出陣していた騎馬武者が年々数が減少し、その維持が課題となっています。
そうした中、相馬野馬追の伝統を絶やすまいと、ことし初めて出陣を果たした騎馬武者がいます。南相馬市に住む山口哲成さん33歳です。
会津若松市の出身の山口さんは4年前に南相馬市に移り住み、2023年に憧れだった相馬野馬追への出陣が決まりました。
■山口哲成さん
「最初は馬が怖かった。自分よりも高いじゃないですか目線的に。やっぱり最初は怖いものがあったので、いまはかわいいですね。楽しいですよ」
乗馬の経験はなく、出陣が決まったおよそ4か月前から、仕事に行く前の時間を利用して練習してきました。
その初陣をサポートするのが、相馬野馬追に出陣して半世紀になるベテランの中島三喜さんです。
■中島三喜さん(75)
「去年私も軍師役をやってまして、その時(山口さんに)やり持ちをお願いして、ぜひ今度は野馬追に自分で馬に乗って出場したらどうですかと勧めましたら、素直に『やってみます、出場してみます』ということに…。最初はね、本当に戸惑いながらやってましたけど、今見ると数段の上達です」
相馬野馬追に情熱を注ぐ山口さん。普段は、大工をしています。
しかしなぜ、会津出身で大工の山口さんが、相馬野馬追に出陣しようと思ったのでしょう?
■山口さん
「同じ福島県内でこうなってるんだというのが、それだったら行かねえと…というのがありましたね。2000棟近い仮設住宅を作ってという形でした」
きっかけとなったのは東日本大震災です。大工として仮設住宅の建設にも携わり、同じ県民として南相馬市の先輩が相馬野馬追の存在を教えてくれました。
■山口さん
「本格的な甲冑を着て、武者姿でっていうのは感銘を受けましたね」
相馬野馬追と出会って以来、自分も騎馬武者として出陣したい。
伝統を守っていきたいと、思うようになりました。
そして2023年、その願いが叶ったのです。
本祭りの朝。緊張した面持ちで甲冑を着る、山口さん。
■中島さん
「元軍師、功労者が(着付けの手伝いを)やってるなんて普通は考えられない(笑)」
中島さんをはじめ、周りの助けがあったからこそ、この日を迎えられました。
■山口さん
「見せられるところで、見せるだけです」
相馬野馬追のハイライト、本祭りでは勇壮な騎馬武者たちが街を進軍する戦国絵巻さながらの光景を見ようと、沿道には多くの人がつめかけました。
騎馬武者行列のなかには初陣を果たした山口さんの姿も…
■山口さん
「本番だけあって、やらなきゃっていう熱がありました。沿道にいた皆様が『おー、すごい』って…なってくれるのは、出てよかったというか感動しました」
一騎の騎馬武者として相馬野馬追の伝統をつなぎました。
祭りを終えた山口さんは中島さんと一緒に喜びをかみしめます。
■中島さん
「初陣で颯爽として、素晴らしい出来だったと思う、ぜひ来年も出馬してほしい」
■山口さん
「誘っていただいた方に、しっかりやっていたと褒められるのは感無量です。他のことに関してもですけど、先人の方たちがあってこそなので、自分も追いつくような、そういう風になれるというか、それこそ次につなげていきたいです」
<記事はこちら>
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Негізгі бет 「次につなげたい…」相馬野馬追で初陣を果たした移住者と応援軍師【福島県】 (2023年8月3日)
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