夜が明けて弁天島の鳥居に朝日が当たる頃、漁船が港へ戻り、海鳥が新しい朝を告げる。
稲佐の浜(島根県出雲市)は、出雲大社に祭られる大国主命(おおくにぬしのみこと)が天照大神(あまてらすおおみかみ)の使者と国譲りの話し合いをした場所とされている。
この浜で毎年、旧暦10月10日の夜、全国から八百万(やおよろず)の神々を迎える「神迎神事(かみむかえしんじ)」が営まれる。暗闇にかがり火がたかれる浜で、神職が祝詞をあげ神々をサカキに宿らせる。そして「神迎の道」を進み、出雲大社へ向かう。
今年の神事は今月24日。新型コロナウイルスの影響で一般客の参列や見学はできないが、例年多くの人が浜を埋め尽くすという。
神々は7日間滞在し、向こう1年間の縁結びや農事などを話し合う「神議(かみはかり)」を行うとされる。旧暦10月は神々が留守になるため神無月といわれるが、出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼ばれている。
散歩の途中、稲佐の浜を見下ろす山の上で一休みする小村(おむら)静子さん(92)は「神在月が終わるともう冬です。今年はコロナの影響で神事も変更されるみたいだけど、大丈夫かしら」と話した。
神話の舞台が散歩コース。なんだかぜいたくですね、と話しかけると「普段は意識しないけれども、そう言われてみればそうね」と笑った。
今年、「神議」の議題に「疫病の退散」は上るのだろうか。出雲大社を参拝する多くの人を見て、思わずにはいられなかった。(写真報道局 川口良介)
Негізгі бет 出雲に集う神々 今年の神議は 島根県出雲市「稲佐の浜」
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