学校法人明浄学院の土地取引をめぐる横領事件で、大阪地検特捜部に逮捕・起訴された後に無罪が確定された「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は国に賠償を求めた裁判。
大阪地裁で取り調べを担当した検事らの証人尋問が行われました。
(山岸さん)「特捜部の見立てに沿った供述をとってきなさいよと、それだけ。これではえん罪って当然のごとく起こるよねと」
検察の捜査手法をこう断じた不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん。
5年前、学校法人の土地売却をめぐる21億円もの巨額横領事件に関与したとして逮捕・起訴されました。
山岸さんが当初から否認する中、検察が有罪立証の根拠としたのは、山岸さんの元部下による「山岸さんが横領と認識していた」という供述でした。
しかし、大阪地裁は元部下に対する取り調べの中で、机をたたきながら強い口調で迫るなど手法に問題があったと指摘。
証言の信用性を否定し2021年、山岸さんに無罪を言い渡しました。
検察の捜査は不当だったとして山岸さんは翌年、国に賠償を求め提訴。
(山岸さん)「検察が誤った原因は何であるのか、公平で公正な判断をしていただきたい」
3日前の裁判では、取り調べ手法に問題があったと原告側が主張する実際の録音・録画の一部が再生されました。
(検事)「あなた、その損害を賠償できます?10億、20億じゃすまないですよね」
(元部下)「はい」
(検事)「それを背負う覚悟で話していますか」
(元部下)「背負えないですね、それは」
(検事)「背負えないよね。そんな話して大丈夫?」
これらの取り調べを経て元部下は、山岸さんの関与を否定する供述から、認める供述に転じました。
刑事裁判で開示された取り調べ映像が、民事裁判で証拠採用されるのは異例のことです。
大阪地裁は原告側の請求に対し、検事の口調や動作が客観的に記録されている録音・録画データは「最も適切な証拠だ」と判断。国側に約18時間分のデータを提出するよう命じました。
しかし国側は、この決定に対し即時抗告。大阪高裁は「元部下のプライバシーを侵害しかねない」などとして、提出されるデータは約50分に狭められました。
再生された映像の中には、机をたたいたり大声を出したりする場面は含まれていませんでした。
(原告代理人 中村和洋弁護士)「(元部下に取り調べをした男性検事に)再現してくださいと言ったら、怒鳴っていませんでしたよね。証言している声とほぼ変わらない。嘘ばっかりついていると言われても仕方ない」
原告側は刑事裁判で開示された証拠が、民事裁判で使用できない法律の規定にも問題があると指摘しました。
そんな中、14日に行われた証人尋問。午前に出廷したのは「山岸さんの逮捕は待った方がいい」と進言した検事です。
(元理事の担当検事)「(学校法人の元理事が山岸さん逮捕当日)供述は撤回したいと。けんか腰でまくし立てるように。(証言の)時系列もバラバラ。証拠関係が変わるのではと思い(上司に)報告した」
学校法人の元理事の証言に“違和感”を覚えた検事は、上司の主任検事に報告。
(国側)「主任の返事は?」
(元理事の担当検事)「検討すると言い、その後、他にも証拠がある。きょう逮捕状が出たら執行すると」
その後、原告側の代理人質問で…
(原告側)「『逮捕を待った方がいい』と進言した後、逮捕された。どのように感じたか」
(元理事の担当検事)「私がすべての証拠を見ているわけではないので、主任検事で証拠のすべてを見て判断されたと思う」
なぜ逮捕に至ったのか。午後、その主任検事が法廷で証言しました。
(国側)「逮捕についてどのような証拠構造だった?」
(主任検事)「客観的な証拠、お金の流れや契約書類、覚え書き。(元理事らの)供述によって支えられている」
(国側)「(提言した検事が)逮捕は待った方がいいと進言したことを証言したが?」
(主任検事)「よくよく思い出してはみたが、記憶には残っていない。(進言した)検事が言っているなら否定はしない」
進言の部分は記憶にないと話す主任検事。その上で、供述が撤回されても逮捕の決定に影響しなかったと話しました。
(国側)「撤回受けてどうした?」
(検事)「逮捕の可否は検討した。撤回後より撤回前の供述の方が信用性が高いと証拠関係から判断した。撤回したからと言って、逮捕に影響を及ぼすものではないと考えました」
Негізгі бет 【「逮捕は待ったほうが」進言もなぜ?】逮捕→無罪確定のプレサンス元社長の国賠訴訟 主任検事ら出廷「記憶に残ってない」「供述の撤回は逮捕に影響しないと」
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