東京・調布市の住宅街で突然大きな穴があいた問題。これまで、「地盤に問題ない」とされてきた場所でも異常な事態が起きています。今も続く住宅への深刻な影響、その原因に迫ります。
東京・調布市の住宅街。9月24日。専門家らによる地盤の調査が行われていた。その様子を、住民は不安げな表情で見守っていた。
私たちに情報を寄せてくれた河村晴子さん。2020年9月、自宅に鳴り響いたある音を記録していた。
記録した音声
「ちゃりちゃりちゃり・・・」
村瀬健介キャスター
「これはお宅の中の音ですか?」
河村さん
「そうですね、家のリビングですね。食器棚からこういう音が聞こえ続けてるんですね。もう大変な振動がありました」
異常な“振動”は3週間にわたり続いたという。
河村さん
「(振動で)住宅がおかしくなるんじゃないかとか、さらにそれを支えている地盤がおかしくなるんじゃないかという恐怖もありました」
実際、この1年で家にはあちこちにひび割れなどの被害が出るようになった。
村瀬キャスター
「あーここもですね・・・これもまさに現在進行形で広がっている?」
河村さん
「広がってます」
この原因として考えられているのが、付近で行われた「トンネル工事」だ。
2020年10月、調布市の住宅街の道路が突然陥没。大きな穴が空いた。
住民が撮影した映像より
「ガレージ、ガレージの下が落ちたんだ」
「これは危ないわ。近づけない」
その後の調査で、周辺ではさらに地中に3つの“空洞”が見つかった。その真下で行われていたのが、NEXCO東日本などが進める「東京外環道」のトンネル工事だった。
東京外環トンネル施工等検討委員会 小泉淳 委員長(2021年3月)
「施工に課題があったというのが結論でございます」
NEXCOは「掘削の際に土砂を取り込みすぎた」などとして、原因が施工ミスだったと認めた。そして、トンネル真上については地盤の補修工事を行うことを決めた。だが、河村さん宅はトンネルから15メートルほど離れていて、地盤の補修工事の予定はない。NEXCOは、トンネルの真上以外は「簡易調査の結果、地盤に問題はない」と説明してきたのだ。
本当に地盤に問題はないのか。河村さんは、専門家に調べて貰うことにした。調査では、一定の強さで地中に“棒”を何度も突き刺し、その進み具合で地盤のかたさを調べる。通常のかたさなら、棒は少しずつしか進まない。
しかし、棒が地下2メートルに達したとき・・・
専門家
「(棒が)どんどん入りますよ」
なんと棒が、ストンと落ちてしまった。
芝浦工業大学 地盤工学 稲積真哉教授
「空洞に近い落ち方ですよね」
空洞があるのだろうか。小型カメラを地中にいれていく。
1m付近ではカメラの照明に照らされた土砂が映っている。ところが、地下2メートルを超えるとカメラの前は真っ暗だ。
稲積教授
「映像として全体が黒くなっている」
住民
「(カメラの)光が届いていない?」
稲積教授
「そうです、そうです。だからこのあたりはもしかしたら“完全な空洞”の可能性があります」
トンネルから離れた地点にも深さ2メートル、最小で直径50センチほどの空洞がある可能性がでてきたのだ。
調査を行った芝浦工業大学の稲積教授はこう指摘する。
稲積教授
「蜂の巣のような形で多数のすきまが(深さ)1.6mから3.5mの間に存在していた。本当にスカスカな地盤がここに存在していたということがわかりました」
その原因として考えられるのは、やはり外環道トンネル工事だという。
稲積教授
「比較的広域にわたって工事の振動が原因で、とくに表層付近をゆるませてしまった可能性があるのかなと」
稲積教授は、工事で地盤が揺すられ、隙間ができたとみている。
今回家屋にひびがみつかった4つの地点で調査が行われた。この4つの地点はトンネルの真上からは外れていたが、そのすべてで地盤のゆるみが見られたという。
稲積教授
「すぐにでも表層地盤の補強を事業者は早々に検討していくべきではないのかなと思います」
そして10月11日、NEXCO東日本が動いた。
NEXCO東日本は、既に家屋のヒビなどの修理を申し出ているが、さらに「住民に丁寧に説明するため」としてボーリング調査の実施を決め、事前の測量を始めた。
取材に対し、「今回のボーリング調査で、もし地盤に緩みが確認された場合は適切に対応していく」としている。(12日23:30)
Негізгі бет 地盤が“スカスカ”・・・住宅街陥没で新事実 食器棚から異音【調査報道23時】
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