ペットが繁殖して、飼い主が適切に飼えない状態である「多頭飼育崩壊」。今、大きな社会問題となる中、県内では、動物愛護団体と行政が協力してネコの不妊手術を専門に行う病院を立ち上げようとしています。多頭飼育崩壊の現場と新しい取り組みを取材しました。
新発田市にある住宅。13匹のネコが放し飼いの状態になっていました。
■新潟動物ネットワーク 伊藤愛子さん
「1匹飼い始めたことから手術をしないことで増えたそうです。」
ここに住む70代の無職の男性は、2019年ごろからネコを飼い始めました。1匹の猫が野良猫とペアとなり繁殖し、多い時で約30匹まで増えました。男性は体が不自由で親族が毎日ネコの世話をしに訪れています。
■親族
「寂しかったんでしょうね。近所にも迷惑をかけているし、それが私にとっては苦痛でした。ここに来るのもいやになってくる。ネコだってかわいいし、そこらに捨ててくるわけにはいかないし、ここまでになっているとは思わなかったのが本音。」
このような現場から動物たちを救っているのは、ボランティア団体新潟動物ネットワークです。保護したネコを譲渡や不妊手術につなげる活動をしています。
親族が引き取るなどしたことで、元々いた約30匹からは減りましたが、このときも10匹以上のネコが残っていました。
■新潟動物ネットワーク 伊藤愛子さん
「12匹・・・じゃあ、あと1匹?まずご自分の生活がままならない人も多いので、ネコちゃんにチャットフードもあげられない。悪循環に陥っていくケースが多い。」
数が多く、一度に引き取ることはできないため、新潟動物ネットワークが一斉に捕獲をして不妊手術をし、ひとまずこの家に戻すことになりました。
■新潟動物ネットワーク 伊藤愛子さん
「そのあとは飼い主さんと相談しながら、少しずつ空きが出たら引き取って里親探しするという風に考えています。」
行政も多頭飼育崩壊の解決に向けて協力体制を強化しています。やむなく飼えなくなったネコなどを引き取る下越動物保護管理センターは、1月から可能な範囲でボランティアには負担が大きいネコの運搬や不妊手術前の前泊を担うようになりました。
■下越動物保護管理センター 阿部久司センター長
「まずは多頭飼育の現場を止めなければならないので。止めるということは手術しなければならないので、それをすぐやるには共同でやるしかない。」
新発田市の自宅で保護された11匹のネコは、一般の病院で不妊手術を終えました。術後一時的に新潟動物ネットワークの岡田代表が自宅で預かり後日飼い主の元に戻されます。
■新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表
「メスが8頭でした。そのうち7頭が既に妊娠していたという状況です。もうしばらくすればお腹の中から全部で29頭の赤ちゃんが出てきていたということになります。(Q赤ちゃんは・・・)手術と一緒に。かわいそうですけど出てきても不幸な命となるので。」
多くのメスがすでに妊娠していました。1匹のネコが、2年で80匹以上に増えることができる強い繁殖力を持ちます。岡田代表によると、毎年、春に発情期を迎えますが、今年は暖冬の影響で早まった可能性があるといいます。新潟動物ネットワークに寄せられた多頭飼育崩壊にかかる相談件数は、おととしの35件から去年は60件まで増加しました。
■新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表
「昔からあった問題が表に出るようになってきた結果がこれ。(相談が増えた理由)だと関係者は考えています。個人では解決できないような問題に対して、猫の手募金という制度がある。その募金を今回も使って手術をしていて、財源は全部寄附ですが、それで年間400頭以上の手術をしている。」
多頭飼育崩壊では不衛生な環境で病気になるなど、ペットも苦しむことが多いといいます。岡田代表は、現在、7匹のネコを飼育したり預かったりしています。この中には、多頭飼育崩壊から助け出されたネコもいます。
■新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表
「多頭飼育崩壊は、誰か特別な人がなるのではなく誰もがなる。ネコのお世話をしている方1匹2匹のうちにぜひ手術をしていただきたい。」
県内では、崩壊を防ぐ新たな取り組みが始まろうとしています。
■新潟県動物愛護協会 高橋正康専務理事
「こちらは新潟市でネコの不妊手術を専門的に行う手術室をこちらで開設したい。」
新潟市動物愛護センター内の手術室を借りて開設される「にゃんがたクリニック猫の不妊手術専門病院」。週に一度、交代制で一般の獣医師に協力してもらい、10匹~20匹のネコの不妊手術をします。全国的にも珍しい取り組みで、主に多頭飼育崩壊で保護された飼い猫や野良猫が対象です。
■新潟県動物愛護協会 高橋正康専務理事
「ネコの不妊手術は開業の獣医でなければやるところがなかったが、でも実際は多頭飼育崩壊は一度に多くのネコの手術を1か所でする必要があるが、そういうところが新潟にはなかった。」
既にある公的機関の手術室をかりることで運営費を減らし、関係者と行政との連携を強めることが狙いです。新潟動物ネットワークの岡田代表もこの取り組みに期待を寄せています。
■新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表
「不幸なネコがいたらみんなで支え合って助け合える社会。そのためにこのクリニックはすごく意義があると思っている。」
2月中旬から病院設立に向けクラウドファンディングをしていて、既に1400万円の支援が集まりました。県動物愛護協会は、病院を持続的に運営するための資金として1600万円を目標としています。
■新潟県動物愛護協会 高橋正康専務理事
「官民一体となっての取り組みは全国初。これが成功すれば、おそらく新潟方式というものが広がり、全国的に不幸なネコが少なくなっていくと希望を持っている。」
2024年3月12日放送時点の情報です。
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Негізгі бет 多頭飼育崩壊の現場とネコの不妊手術を専門的に行う新たな病院開設への取り組み【新潟】スーパーJにいがた3月12日OA
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