「法施(ほうせ)」とは、仏教を人にお伝えすることです。
「法」とは「仏法」、「施」とは「施す」「与える」。
仏法を皆にわかるようにお届けするのが「法施」です。
そして法施一つに生きる人を「僧侶」と言われるのです。
今日、「僧侶」「坊主」といえば、葬式や法事で読経する人、というイメージが定着していますが、読経だけでは、法施したことにはなりませんので、僧侶、坊主の役目を果たしたことにはなりません。
「世間の本ではない、仏教の教えが書かれている経典を声に出して読むのだから、聞く人に仏法を与えることになるのではないか」というのは暴論です。
耳で聞いて意味が分かる人ならいざ知らず、おそらくほとんどの人は、坊主の読経を聞いても、意味がサッパリ分かりませんから、それでは法を伝えたことにはなりません。
「相手が分かろうが分かるまいが、オレは伝えたんだ」というのは、与えたことにはなりません。
相手が受取りやすいようにしないと、与えることにはなりません。
今、読んだお経にはこういうことが教えられているのですよ、とみなさんにわかるように仏の教えを伝えてこそ、法を施したことになるのです。
本来、葬式や法事は、僧侶にとって法施するご縁であり、参詣者にとっては聞法するご縁でした。
それが今や、何が書かれているか分からないお経を節をつけて有り難そうに読んで、それで終わり、自分の役目は終わったとばかりに、白封筒に包んだお布施のお金をもらってすぐ帰る、あるいは長居してビール飲んでくつろいだりしているのが、多くの人の頭に浮かぶ僧侶、坊主のイメージになっています。
坊主を迎える門徒もそれが常識で、読経も死んだ人のご馳走くらいに思っており、葬式や法事を、聞法のご縁と思っている人はほとんどありません。
本来は葬式や法事の際に、僧侶は、読経の後に参詣者の方を向いて「今読んだお経にこんな言葉がありました。ここでお釈迦様はこう言われているのです」と説法しなければ、使命を果たしたことにはならないのです。
仏教を人にお伝えするのは大変です。
お経は難しい漢字ばかりですから、その一つ一つの意味を話すだけでも大変ですが、それだけでは未だ仏法を伝えたことにはなりません。
お経の意味を話したところで、その内容が自分の人生とどう関係しているのか、みな分からないので、聞く耳を持ちません。
続けて聞きたいと思われないのです。
私たちの人生にとって、絶対欠かしてはならない大切な内容が、仏教に教えられていたとは知らなかった、と聞く人が感動し、続けて聞かせていただきたい、となってこそ、法を伝えている、といえるのです。
これは大変難しいことです。
根気の要ることです。
いい加減な気持ちで取り組んでいる人が務まるものではありません。
僧侶が他の仕事に就かず、法施一つに専念するのは、片手間にできることではないからです。
法施一つに専念してさえ、なかなか法をお伝えすることができず、悩みが絶えないのに、他の職業をする時間はないのです。
自分の生活を抛ってでも、人々に法をお届けすること一つに専念する僧を敬って、仏教では「僧宝」と言われます。
自らが正しく仏法を知り、それを伝えることに己の全てをかける人は、私たちにとって、かけがえのない宝だからです。
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(自己紹介)
1988年早稲田大学を中退し、仏教講師の道を目指す。
浄土真宗親鸞会で仏教講師の資格を取得、全国各地で公開講座を始める。
2010年からメールマガジンをはじめ、読者12000人の仏教最大級のメルマガ執筆
2014年からは全国をつなぐオンライン講座の動画レクチャーでも活動中。
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Негізгі бет 法事や葬儀で読経するのは何のためか【仏教の教え】
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