鎌倉時代の武士は鎧を射抜く為に、今回試してみたような40kgから50-60kgの弓を使っていたのではないかと思います。弓力40キロの弓を鎌倉武士の実戦弓と推定している根拠は、英国のWarBowSocietyの会員が引く和弓に似たLongBowの弓力が90-150lb(40.5-67.5kg)らしいから。Mike Loades氏の名著 WAR BOWS(Osprey Publishing 2019) にも英仏の「百年戦争(1337年 - 1453年)緒戦の頃、弓力は40-50kgだったが、その後、威力を増し45-63kgになっていった」と書かれています。1346年、英軍のロングボウと仏軍のクロスボウが対決して、ロングボウが勝った有名なクレシーの戦闘でも、英軍のロングボウは突撃する仏軍の重騎兵、甲冑騎士の鎧を貫通したと伝えられています。
2021年7月24日、神奈川県小田原市のサドルバック牧場「馬上弓くらべスクール」で、生徒さんの一人が持ってきた40キロの弓を引かせてもらいました。弓具店への特注品、ハイカーボンの「肥後蘇山」です。「こんな強い弓は作ったことがない」と言われたそうです。伸び寸なので、おそらく引尺85-90cmくらいで弓力40kgという設定になっているのではないかと思います。懸命に引いてみましたが、50cmくらいまでしか引けず、その後、弓力計での計測で50cmまで引いた時の弓力は30kgと確認しました。
そもそも弓を張るのが大変。この日は一人では張れず、二人掛かりでした。まさに「二人張り」の弓ですね。でも、もっと張りやすいところで、張るのに慣れていれば、一人でも張れそうな感じではありました。と、言うことは、本当の「二人張り」は弓力50-100kgくらいなんでしょうか。軍記物には「五人張り」の弓、みたいなことが書いてありますが、現実問題としてあまり大勢で弓を張ろうとすると、互いに邪魔しあってしまうので「三人張り」が限界と言われています。
以前、江戸時代に作られた弓力89キロの竹弓を引かせてもらったことがありますが、20-30cmくらいしか引けませんでした。まるで棍棒のように断面がほぼ真四角のずっしりと重い弓で、三人がかりで張りました。作られて、残っていると言うことは間違いなくこんな弓を引ける人がいたんでしょうけど、これを引き尺いっぱいまで80-90cmくらいまで引いて矢を放ったら、いったいどれほど威力があったのか。厚さ50mmはある木製の盾と、その後ろにいた武士の鎧を貫通したみたいな軍記物の記述もあながち誇張ではなかったと思われます。
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