寡婦年金と死亡一時金、これはどういうことかすぐにイメージできる人は少ないと思います。寡婦年金も死亡一時金も、身内が亡くなった時に遺族が受け取るお金という点では遺族年金と同じです。それともう一つ、共通点があります。それは、遺族が自分から請求しないとお金はもらえない!ということなんですね。
今回は、寡婦年金と死亡一時金が遺族年金と何が違うのか?について解説したいと思います。
まず、最初に遺族年金の簡単な振り返りをしておきたいと思います。というのも、この振り返りをしておかないと、後から説明する話が分からなくなる可能性があるからです。
で、遺族年金ですが、これは大きく2つに分けることができます。一つは遺族厚生年金で、もう一つが遺族基礎年金です。この2つの違いは、亡くなった方が加入していた
年金の種類で違ってきます。まず亡くなった方が自営業者、あるいはフリーランスだった場合は、国民年金に加入していますので、遺族基礎年金が支給されるということになります。
一方、亡くなった方が会社員、あるいは公務員だった場合は、国民年金と厚生年金の2つに加入していますから、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されるということなんですね。
で、遺族基礎年金の方ですが、どうしても押さえておきたいポイント、つまり遺族基礎年金の重要な支給要件があります。それは、遺族に18歳未満の子がいること、という要件があることです。これは逆に言えば、たとえ遺族であっても子がいなかったり、もしくは子がいても既に18歳以上だったりすると遺族基礎年金はもらえない!
という事を意味しているんですね。
以上、遺族年金の簡単な振り返りでした。
で、ここから本題にはいるわけですが、まず寡婦年金、これは女性限定の年金で支給対象も女性のみ!ということが特徴的です。寡婦年金を一言で説明しますと、
自営業者やフリーランスで働いていた夫が亡くなった時に、子供のいない女性のみが受け取れるもので、妻が60歳から65歳の間だけ支給される年金、ということになります。
寡婦年金の支給要件については、後ほど説明しますが、その前に寡婦年金について是非知っておいてほしいことがあります。それは、寡婦年金はぶっちゃけて言えば、それほど大した金額ではない!ということなんです。つまり、金額が少ない上にもらえる期間が短い年金!ということなんですね。なんでこんな年金があるのか?と言いますと、
自営業の夫が今まで払ってきた年金保険料を掛け捨てにしないための救済措置のために設けられたた制度ということなんですね。
では、寡婦年金の金額はいくらか?ということですが、寡婦年金の金額は、亡くなった夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3と決まっています。
具体的な金額については、具体例を見ながら一緒に計算してみたいと思います。例えば、亡くなった夫がサラリーマを10年勤務後退職し、以後は自営業者として20年働いた後に死亡したケースで計算してみましょう まず最初に、夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の金額を計算します。計算式は、老齢基礎年金の満額(年)に
夫が国民年金に加入していた期間を国民年金の加入義務期間で割るということになりますが、これに今回のケースに当てはめますと、780,100円x20/40=390,050円ということになります。因みにこの780,100円は平成31年度の老齢基礎年金の満額のことで、40は国民年金の加入義務期間、20は夫が自営業として勤務した期間ということになります。
そして寡婦年金の金額ですが、亡くなった夫が受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3ということですから、390,050円x3/4=292,537円という事になるんですね
つまり妻は寡婦年金として毎年292,537円を、60歳から65歳の間もらうことができる!ということになります。しかし1年間で約29万円ですから、
これだけではとても生活はできませんよね。因みに夫が自営業者として30年間働いた場合を計算すると年間で約44万円、40年間働いた場合は約59万円になりました。
次は死亡一時金についての説明をします。
死亡一時金とは、寡婦年金と同じように自営業やフリーランスの方が亡くなった場合に支払われるものですが、寡婦年金との大きな違いは、一括で支給されるということなんですね。ただ、金額はとても少なくて最高でも32万円しかありません。因みに最低額は12万円です。この金額は、亡くなった方が納めた保険料の月数に応じて決められています。
死亡一時金の支給条件のポイントを簡単に説明しますと、まず、亡くなった方の条件ですが、①保険料納付期間は36月以上あったこと、そして②老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていなかったこと、ということになります。
次に遺族の要件ですが、これは①亡くなった方と生計を共にしていたこと、そして②遺族基礎年金の支給を受けていないこと、ということですね。
最後に死亡一時金を受ける権利の時効ですが、これは死亡日の翌日から2年といことになります。さらに、ここでちょっと大事なポイントがあるんですが、それは、死亡一時金をもらう側の人には優先順位というものがある!ということなんですね。どういうことかというと、まず最優先は配偶者がもらうとなっています。でも、もし配偶者がいなければ子がもらう、子がいなければ父母がもらう、父母がいなければ孫、孫がいなければ祖父母、祖父母がいなければ兄弟姉妹という感じで受取の優先順位が決まっているんですね。
さて、寡婦年金と死亡一時金、どちらがお得だと思いますか?金額だけ見れば、寡婦年金の方が断然お得です。これは、仮に夫が死亡した時に妻が64歳で1年間しか寡婦年金を受け取れなかったとしても、寡婦年金の方が死亡一時金を上回ります。しかし、遺族の状況によっては死亡一時金を選ぶべき!といいうケースもあります。
例えば、妻が老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていたら、寡婦年金はもらえませんが死亡一時金はもらえます。また、妻が将来、特別支給の老齢厚生年金の受給を希望する場合は、寡婦年金はもらえませんが死亡一時金はもらえます。但し死亡一時金の需給は、60歳前の受取りになります。さらに、亡くなった夫の保険料納付期間が10年未満だったら、寡婦年金はもらえません。でも、保険料納付期間が36ヶ月以上あれば、死亡一時金はもらえます。
またこんなケースも考えられます。妻が50歳の時に夫が急死した、
今すぐまとまったお金が必要!そんな方がいるかもしれません。そんな時、死亡一時金なら60歳まで待たずともすぐにもらえるのです。このように遺族の状況によっては、死亡一時金を選ぶべきというケースも多々あるわけですね。
最後に寡婦年金の手続きと条件ですが、まず寡婦年金の申請先は、亡くなった夫の住所がある市区町村役場、もしくは年金事務所または街角の年金相談センターで手続きをする!
ということになります。因みに請求の期限は、夫の死亡後5年以内となっています。次に寡婦年金を受け取る条件ですが、詳しく書けばいろいろあるのですが、ただ寡婦年金は先ほど説明しました通り、金額的に少なくもらえる期間も短いものですから、ここで詳しく説明はしないで、大事なポイントを2つだ説明したいと思います。
1つは、亡くなった夫の側の条件になりますが、これは国民年金の第1号被保険者として保険料を10年以上納めていること、ということになります。そしてもう一つは、妻の側の条件になるのですが、これは3つあって、①妻は夫の死亡当時65歳未満であること、②婚姻期間が10年以上あること、③夫によって生計を維持されていたことこの3つになります。ということで今回は、寡婦年金と死亡一時金についての話をしました。
動画を見て疑問に思ったこと、また何か聞きたい事があれば、コメント欄に質問をお願いします。
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