"Red Candles and Mermaids" is a children's story by Ogawa Mimei, first published in 1921. The theme of the story is the egoism that lurks in human beings and the grudge held by the deformed.
Mimei Ogawa (1882-1961) was an author of short stories, children's stories, and fairy tales. Because he was one of the first authors to publish children's stories under his own name, Ogawa has been called Japan's Hans Christian Andersen.
小川未明の『赤い蝋燭と人魚』を #やさしい日本語 #SimpleJapanese でリライトしました。
【音楽】
H/MIX Gallery様 www.hmix.net/
【イラスト】
イラストAC様 www.ac-illust....
スクリプトーーーーーーーーーーーーーー
ある晩、人魚が岩の上で、景色を見ていました。海は冷たい。暗くて寂しい、と彼女は思いました。海岸の町を見ると、明るい光がたくさんあります。
「人間の町は美しい。人間は優しい生き物だと聞く。私たち人魚は、半分は魚だけど、半分は人間。人間の世界で生きることも、きっとできる」
彼女のお腹には赤ちゃんがいました。自分はこの暗くて寂しい海の世界を出ることができなかった。でもこの赤ちゃんは、明るい人間の世界で生きてほしい。友達をたくさん作って、幸せに暮らしてほしい。彼女はそう思いました。
それで、ある月が明るい晩、海岸の神社へ行って、赤ちゃんを産みました。
その海岸に、小さい蝋燭屋がありました。お爺さんが蝋燭を作って、お婆さんが店で売っていました。町の人が海岸の神社へ行くとき、よくこの店で蝋燭を買っていました。それで夫婦は神社の神様に感謝して、毎日蝋燭をお供えしていました。
その日は忙しかったから、お婆さんは夜になってから神社へお参りに行きました。月が明るい晩でした。帰るとき、石段の下で泣いている赤ちゃんを見つけました。
「捨て子だ。かわいそうに。でも、不思議。こんな夜遅くに人が通ることは珍しい。これはきっと神様が、子どもがいない私たちにくださった赤ちゃんだ。大切に育てましょう」そう思って、お婆さんは赤ちゃんを拾って家へ帰りました。
お爺さんに相談すると、「そうだね。この子は神様がくださった子に違いない。私たちが大切に育てなかったら、罰が当たる」とお爺さんも言いました。
二人は赤ちゃんを育てることに決めました。それから、その赤ちゃんが女の子で、腰から下が魚の姿だとわかりました。
「おや、この子は人間じゃない。人魚だ…」とお爺さんが言いました。「あらあら。でも、かわいい女の子ですよ。神様がくださった子です。大きくなったら、きっと賢い子になるでしょう」とお婆さんは言いました。その日から二人は、その子を大切に育てました。
人魚の子は、とても内気で、おとなしい娘でした。自分が普通の人間とは違いますから、恥ずかしくて、ぜんぜん外へ行きませんでした。しかし店のお客さんがその娘を見ると、みんなびっくりしました。彼女がとても美しかったからです。それで、彼女を見るためだけに蝋燭を買いに来る人もいました。
お爺さんは家の奥で、たくさん蝋燭を作りました。それを見ていた娘は、その蝋燭に絵を描くことを考えました。 美しい絵があったら、もっとたくさん蝋燭が売れると思いました。
「それじゃ、描いてみたらいい」と、お爺さんは気軽に言いました。娘は赤い絵の具で、魚や貝や海草を、とても上手に描きました。お爺さんはその絵を見て、びっくりしました。「これは人間が描ける絵じゃない」
その絵には、見ると誰でも必ずその蝋燭が欲しくなる、不思議な力がありました。
娘が絵を描いた蝋燭を店に出すと、みんなが買いました。やがて、奇妙な噂が広まりました。この店の絵蝋燭を神社にお供えして、その燃えさしを持って海へ行くと、大嵐が来ても船が転覆しても、ぜったいに死なない、というのです。それで、もっと蝋燭が売れましたから、お爺さんは朝から晩まで蝋燭を作りました。
娘は手が痛くなっても絵を描き続けました。「こんな、人間じゃない私を育ててくれる、優しいお爺さんとお婆さんに、少しでも恩返しをしなければならない」と思って、一生懸命描きました。
店には毎日遠くから船乗りや漁師たちが来ました。そして蝋燭を買って、神社にお供えしました。その蝋燭が燃え尽きるまで待って、その燃えさしをお守りとして持って帰るのです。それで、その神社には昼も夜もたくさんの火が灯りました。噂はどんどん広まって、蝋燭もどんどん売れました。しかし、手が痛いのを我慢して絵を描き続けている人魚の娘をいたわる人は、一人もいませんでした。娘はとても疲れていました。月が明るい晩はいつも窓から海を見て、泣いていました。
あるとき、南の方から香具師が来ました。素性が良くない男でした。彼は町で噂を聞いて、蝋燭屋へ来ました。そしてすぐに、娘が人間じゃないことを見抜きました。それで、こっそりお爺さんとお婆さんに言いました。「あの娘を売ってください。あれは、あなたたちの本当の子どもじゃないでしょう? 人間でもない。人魚だ。あれを売ってくれたら、大金をあげますよ」
香具師は、とんでもない大金を二人に見せました。しかし、お爺さんとお婆さんは言いました。「あの子は神様がくださった子です。売ったら罰が当たります」
香具師は諦めませんでした。何度も何度も来て、二人を説得しました。「昔から、人魚は不吉だと言うでしょう。早く縁を切らないと、いつかきっと悪いことが起きますよ」
香具師がとても上手に説得しましたから、お爺さんとお婆さんは、とうとう彼の言葉を信じてしまいました。それに、とんでもない大金をもらうことができるのです。二人は、人魚の娘を売る約束をしてしまいました。
それを知って、娘は悲しくなりました。信じていたお爺さんとお婆さんに売られて、知らない香具師と、知らないところへ行かなければなりません。それはとても恐ろしいことでした。彼女は泣いて、二人に頼みました。
「もっと働きますから、許してください。私を売らないでください。お願いします」しかし、お爺さんもお婆さんも、人魚は不吉な生き物だと思っています。それに、もう大金をもらってしまいました。二人は彼女の言葉を無視して、お金のことだけを考えました。人魚の娘はもっともっと一生懸命、蝋燭に絵を描き続けました。しかし、お爺さんもお婆さんも、娘が可哀そうだとは思いませんでした。
ある月が明るい晩でした。娘は一人、蝋燭に絵を描きながら、波の音を聞いていました。自分の将来が不安でしかたがありませんでした。ふと、遠くから自分を呼んでいる声を聞きました。彼女は手を止めて、窓から外を見ました。でも、誰もいませんでした。ただ海の上に月があって、世界を照らしているだけでした。
やがて、蝋燭屋の外が騒がしくなりました。香具師が鉄の檻を乗せた車で、娘をもらいに来たのです。娘はまだ蝋燭に絵を描き続けていました。
「さあ、行きなさい」お爺さんが言いました。娘は急いで、三本の蝋燭を全部真っ赤に塗りました。香具師は娘を無理やり檻の中に入れて、連れて行ってしまいました。
静かな夜でした。お爺さんもお婆さんも、よく寝ていました。夜中に、戸を叩く音がしました。
「どなたですか」お婆さんが起きて聞きました。しかし、返事がありません。お婆さんは、戸を少し開けました。外に青白い女の人が立っていました。蝋燭を買いに来たお客さんです。お婆さんは、蝋燭の箱を開けて女に見せました。女はしばらく何も言わないで、蝋燭を見ていました。
お婆さんは、女がぐっしょり濡れていることに気が付きました。濡れた髪が、月明りで光っていました。やがて、女は真っ赤な蝋燭を一本取りました。そして、お金を払って、その赤い蝋燭を持って帰りました。
お婆さんは、何か変だと思いました。女にもらったお金を蝋燭の光に照らしてよく見ると、それはお金じゃありませんでした。貝でした。お婆さんは「騙された」と怒って、急いで外に出ました。しかし女の姿はもう、どこにもありませんでした。
それはちょうど、人魚の娘を乗せた船が、港を出たときでした。急に空が曇って、ひどい嵐になりました。赤い絵蝋燭の火が神社に灯るようになってから、ずっと嵐が来ていませんでしたから、それは本当に久しぶりの大嵐でした。その夜、数えきれない船が海に沈みました。
その夜まで赤い絵蝋燭は、船乗りや漁師のお守りでした。しかしその夜から、不吉なものになりました。どんなに天気が良くても、神社に赤い蝋燭が灯ったら、すぐに大嵐になりました。それで、誰もその蝋燭屋で蝋燭を買わなくなりました。お爺さんとお婆さんは、神様の罰が当たったと思いました。それで、店をやめてしまいました。しかし、どこのだれが持ってくるのかはわかりませんが、その神社には時々赤い蝋燭が灯りました。すると、必ず嵐になって、誰かが死にました。
だんだん、その赤い蝋燭を見ただけでも海でおぼれ死ぬという噂が広まりました。やがて、誰もその神社に行かなくなりました。
昔は、海からその光を見て安心していましたが、今はみんなそこに光を見ると恐れました。とても気味が悪いと思いました。
ある真っ暗な晩。ある人が、海の上に赤い蝋燭の火を見ました。その火はだんだん神社に近づいて、ゆらゆら揺れていました。
それから数年後、その町は滅びて、なくなってしまいました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおわり
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