指揮:中曽根敦子
演奏:前橋男声合唱団(mae-dan.com)
独唱:大友俊明(Top Tenor)
日時:2015年11月7日(土)
第8回演奏会
於: 前橋市民文化会館
また来ん春・・・・・・
また来(こ)ん春と人は云(い)う
しかし私は辛いのだ
春が来たって何になろ
あの子が返って来るじゃない
おもえば今年の五月には
おまえを抱いて動物園
象を見せても猫(にゃあ)といい
鳥を見せても猫だった
最後に見せた鹿だけは
角によっぽど惹かれてか
何とも云わず 眺めてた
ほんにおまえもあの時は
此(こ)の世の光のただ中に
立って眺めていたっけが……
《以下、前橋男声合唱団・第8回演奏会パンフレット曲目解説より引用》
詩人・中原中也は、不幸にも病により昭和12年、鎌倉で30年の短い生涯を閉じた。この詩が収められている詩集『在りし日の歌』には、「亡き児、文也の霊に捧ぐ」と副題が付されている。昭和11年、中也が亡くなる前年に、長男文也はわずか2歳の生涯を閉じた。その葬儀の日、中也は、文也の遺体を抱いて離そうとしなかった。
この曲は、息子文也の死後歌った作品。親子で行った動物園で、「象を見せても猫(にゃあ)といひ、鳥を見せても猫(にゃあ)だった」と世の親ならば、我が子の子育て中、きっと同じような経験があるはずで、その子が死んでしまってもうこの世にはいないという絶望感を毎年めぐってくる「春」に投影してうたった詩。文也の死に対する内容ももちろんだが、主体が「私」から「おまへ」に移り、最後には「おまへ」は「此の世の光のたヾ中に」埋もれてしまうことも、中也の詩才と悲しみの大きさを表していて、涙を誘う。
Негізгі бет Музыка 男声合唱組曲「在りし日の歌」より “また来ん春・・・・・・” 【前橋男声合唱団】(詩:中原中也 作曲:多田武彦)
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