01:50 Q. ○○の期待に沿えない、失望させてしまった
06:18 Q. 自分の意見と異なる人間をなぜバカだと思うのか?
今日は「完璧ではない、ことを認めるために」というテーマでお話をします。
僕らは完璧ではありません。僕もそうですし、あなたもそうです。
ですがこの事実を忘れがちです。
「自分はダメだな」と思ったり、人に対して「何でこんなこともできないのだろう」と思ってしまいます。人間はそう思うようにできているようです。
社会生活で問題が起きていないのならば良いのですが、「自分は完璧ではない、ダメなんだ」という思いに囚われて日常を満足に送れない、相手に完璧さを求めるが故に腹が立ってしまい日常を送れない(相手がちゃんとしてくれないから自分がダメなんだ、と思ってしまう)という人は一定数います。
そのような人に対して治療上どのようなアドバイスをしているのか、ということを僕の言葉でお話しします。
■Q. ○○の期待に沿えない、失望させてしまった
「○○の期待に沿えない、失望させてしまった」という過去の経験に縛られてしまって、完璧でなければいけないのではないかと思ってしまうパターンです。
・親子関係
親は子供に対して教育という意味を込めて「あれができていない」「これをしなさい」と叱ります。僕も自分の子供を叱ります。そうすると、子供はすごく恥を感じたり、親を失望させてしまったのではないかという思いに囚われたり、逆に怒ったりします。
社会はそういうものなので、ぶつかったり挫けたりしていくのですが、うまく挫折体験を乗り越えられないと、完璧さに囚われてしまいます。
村上春樹が父親とのエピソードを書いた「猫を棄てる」という短編があります。僕はこれが好きで何度も読んでいます。
この中で、村上春樹がなかなか受験勉強をしっかりできなかったことを悔やむシーンがあり、今でも時々テスト勉強ができない夢を見ると書いています。こんな大人になっても、と思うのですが、しんみりきます。
村上春樹の小説は東南アジアや中国の若者にも多く読まれているそうですが、彼らの世界では親というものが大きいのだなと感じます。
・恋人
恋人の期待に沿えないと彼・彼女に愛されない。
失恋を経験したことのない人はいないのですが、その挫折体験を心の傷として残してしまうと完璧さに囚われてしまいます。
Bella Poarchの「Build a B*tch」という、女の子はカスタムできないと歌っている曲があります。10代や20代の頃はそんなことを考えていたかなと聞きながら思いました。
今の僕自身の心を大きく掴むことはありませんでしたが、歌詞の意味やカルチャーに思いを馳せました。
・会社
これは僕が毎日聞いている話です。会社の期待に沿えない、上司の期待に沿えないから自分はダメなんだと思っている方はたくさんいます。
その結果、適応障害になったり、上司が過度に完璧さを求めてパワハラのようになってしまったり、マルチタスクができないから自分は発達障害なのではないかと不安になったりします。
現実に今起きている問題であることもあれば、その背景に恋愛や両親との関係が織り混ざって問題を大きく見せていることもあります。
■Q. 自分の意見と異なる人間をなぜバカだと思うのか?
自分の意見と異なる人間をなぜ愚かだと思うのか、については最近よく考えています。
特にコロナやワクチンに対しては、日々真逆の意見を言う人と接しています。
コロナをすごく不安に思う人もいれば、そんなに危険じゃないんだからもっと自由にさせてくれという人もいます。患者さんには飲食関係の方や観光業の方もいますので、彼らの意見もよくわかります。
ワクチンについても、どんどん打って良いんじゃないのという人もいれば、やはり副反応が怖いという人もいます。
どちらが正しいか?ではありませんし、僕は医者なのでワクチンは打つべきだとは思いますが、もう一歩離れたところから見ると、このような意見は分かれるものなのだということがよくわかりました。
人間が多様性を持つために神様がインプットしたようにも感じます。
いくら「エビデンスがある」「科学的に正しい」と言っても、何百年先から見たら今の科学がどれほど正しいかはわかりません。
ですから、これは人類が絶滅しないようにそのようになっているのだなと僕は理解しました。
それでも、自分の意見と違う人に対して、人は愚かだと感じてしまうのは何故なのだろうと思います。
僕も最初は「なぜこの人たちはエビデンスがわからないのだろう」とは思いました。これだけ日本の医者がこれだけ打った方が良いと言い、広告にもお金をかけているのに、現実的には、おそらく半分くらいの人しか打たないかもしれません。
ですが、一歩引いて見てみると、「なぜ僕らは異なる意見の人に共感できないのだろう」とはすごく考えさせられます。
自分が理解できる範囲であれば共感できますが、理解できないものに対して共感するのは難しいのだと今回改めて思いました。
人間には多様性があり、違う意見の人に対して判断をやめてしまうという要素があるのだと思います。人間の脳というか、人間という動物の限界なのかなという気もします。
僕らは完璧ではないので支え合う必要があります。
完璧ではないことを受け入れるためには、きちんと自分や他人を理解していくことです。
自分を理解していく上で、過去の挫折体験をきちんと理解して乗り越えていくことが重要ですし、自分の意見と異なる人間を愚かだと思ってしまうバイアスにきちんと気づくことが大事です。
自分には理解できないことがあると理解し、その上で敬意を払うことが重要だと思います。
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『精神科医がこころの病気を解説するChとは?』
一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック 益田裕介
『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年早稲田で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp...
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版
#期待
Негізгі бет 僕らは完璧じゃない、ことを受け入れる方法を解説します
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