もう会わない人
そうやって片付けてしまえるのならどれほど楽だろうか。
バイトのヘルプ先で出会った先輩。隣町のコンビニの店員。すれ違う人混みの中で少しぶつかってしまった人。
その程度の事だと思えるのならどれほど楽だろうか。
ただそのどれとも違うのは、もう会わないとしても、それまで積み重ねてきた。共有してきた思い出があると言う事だ。
君と過ごした時間はそのどれもがとても大切で、その瞬間にはこれが世界の全てなのだとさえ思うほどに幸福で、しかし過ぎ去った今となってはこれが絶望の全てだと言わんばかりに袖を引っ張り体を重くする。
その重くなった体で出来る事と言えばゆっくり君の前からいなくなる事ぐらいなのだ。
どうせいなくなってもう会わないので会えば何でも良いじゃないかと思う人もいるだろうが
その時間が穏やかで暖かければ暖かいほど、体は鉛のように重くなりすぐさまに姿を消せない。
そうやって君の前からいなくならないで良い理由を
君と少しでも関われる理由を
阿呆のように愚かに探し回るけど
君と幸せになる術は一切見つからない。
例えば這いつくばって地面を血眼になって探しても、棚の上に置いてある本は見つからないように
色眼鏡も必要ないほどに、間違えた色を見続けた僕の目は、もう正しい君の色をわからないでいるから。
#ルームシェア
#板橋ハウス
#モブキャラ
Негізгі бет 【ルームシェア】もう会わない人選手権【別れ】
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