本日は人前に立つことや人と接することが苦手な方々に向けての動画です。
もしかしたらその症状は「社交不安症」や「回避性パーソナリティ障害」と呼ばれる、精神科の病気からくるものかもしれません。
どんな症状があるのか、どんな治療法があるのか、ということをざっくり説明しようと思います。
■社交不安症と回避性P.D.
人前に立つことがすごく不安な人、苦手な人はたくさんいると思います。
どこまでが普通で、どこからが病気なのかということを説明するのは難しいです。
ざっくり言うと、不安が強くて日常生活を満足に送れない、楽しめない、そのせいでテストで良い点数を取れない、プレゼンの場で口籠もる、プレゼンの前日、前々日、一週間前から憂鬱だ、ということになると病気かなと思います。
簡単にいうと、社交不安症も回避性パーソナリティ障害も、どちらも人と接するのが苦手という病気ですが、それぞれ程度が違います。
社交不安症の方が軽く、回避性パーソナリティ障害の方が重い、と考えてください。
「社交不安症」は不安障害の一種なので、場面や時期に限定されるようなイメージです。
不安の時期が6ヶ月以上という縛りが診断にはありますが、そうは言ってもイメージとしては という感じです。
「回避性パーソナリティ障害」というのは、人生や生活全てにおいてそのような傾向が見られるというイメージです。
社交不安症の場合は、テーマは「感情」に焦点が当たるのですが、回避性パーソナリティ障害の場合は回避という「行動」に問題の中心があります。
パーソナリティ障害の人は、回避する、人と接することが苦手、どの場面でも人を避けるような感じがあります。
不安症の人はそれが限定されており、仲が良い人が相手だとそんなことはない、というイメージです。
■治療法の違い
治療法としても少し違いがあります。
社交不安症の場合、治療は「暴露療法」がメインになります。つまり「慣れ」です。
大勢の前で喋るのが苦手だったら、まずは一人や二人の前で喋る訓練から始めたり、人混みが苦手、学校が苦手だったら、まずはフリースクールから始めよう、という形でやっていきます。
一方、回避性パーソナリティ障害の場合は、暴露療法は厳しかったりします。
ですので、まずは通院から慣れていこう、ということをやります。
通院も、治療者が普通の対応をしていたら「嫌われたかも」「拒絶されたかも」と思って続きません。
回避性パーソナリティ障害の人の場合は特に気を遣う、できるだけ褒めて、こちらが相手に対して不快な思いがないこと、好意的であることをきちんと伝えてあげる必要があります。
好意的なやり取りは誰に対してもするのではないですか、と思うかも知れませんが、そうでもないんです。
わかりやすくいうと回避性パーソナリティ障害の場合の方が大げさ、不安障害の人の場合は普通の人と接するような形でやれば良いのでそこまで大げさに好意を表明したりはしません。
■その人にあわせて治療
なぜかというと、そもそも「その人に合わせて治療する」のが精神科の治療だからです。
あくまで診断はヒントなのです。
「この人は○○障害だからこういう治療をしましょう」という考え方は精神科医はしません。
診断はあくまでヒントで、「○○さんはこういう人なんだろう」とか「○○さんはこういうことを言ったら喜ぶな、あるいは傷つくかもしれないな」と思いながら治療をするので、社交不安症や回避性パーソナリティ障害はあくまでヒントであって、基本的にはその人に合わせて治療をしていきます。
薬物治療としてはSSRIという抗うつ薬を使うことが多いです。
社交不安症の場合はそうです。
回避性パーソナリティ障害の場合も基本は抗うつ薬を使ったりします。
薬が効きにくいのは回避性パーソナリティ障害の方です。
■どうして人が苦手なの?
どういうことをカウンセリングで話すのかというと、「どうしてあなたは人が苦手なの?」ということをテーマに話すことが多いです。
どうして苦手なのかというと、例えば、不安を感じやすい体質かもしれない、過去の嫌な体験、人と一緒にいたことで傷ついたこと、恥をかいたこと、拒絶された経験がいろいろあるはずなので、そうしたトラウマ体験を一緒に語ったりします。
また家族の問題があったりすることも多く、生い立ちを語ることもあります。
虐待や甘やかし(スポイル)の問題があったり、夫婦仲が悪い、など、どんな家族にも問題があったりしますからそういう話をします。
認知の歪みとして白黒思考の人が多かったりします。
こっちは良い/こっちは悪い、こっちは敵/こっちは味方、こうしなければいけない、こうあらねばならない、自分はこうしなければいけないと勝手にハードルを上げて息苦しくなっているので、「もっと柔軟に考えよう」「敵でも味方でもないことはある」「完璧を目指さなくても良い」という話をします。
年齢や経験の話もします。
これくらいの年齢だとそういうこともないかもね、もっと年齢を重ねればもっと柔軟な考え方もできるようになるかもね、思春期はこういうものだよね、という話をしたりします。
基本的には人と接した経験が少なかったり、人がどういうことを考えているのか語り合った経験がないので、診察室もそうですが、そういうことを慣らしていくことで対人不安を減らしていくことになります。
語ることで自分の病気、体質、記憶、家族等々の問題を受け入れたりします。
■すべてを語る中で治療が進む
精神科医はその人に合わせて治療をするということだから、この人は体質について語り合えばいいんだ、この人は認知の歪みを中心に話し合えばいいんだ、ということを考えて治療をするんですね?と思うかもしれませんが、そんなこともないのです。
体質、記憶などすべてをしゃべります。
その人に合わせて治療と言いながら、こういう話はだいたいします。
一通り「地獄めぐり」みたいな形ですべてを話します。
そしてまた体質の話に戻ったと思ったら次は年齢、認知の話をして…という風にいろいろな順番で話したりします。
地獄めぐりなので、色々なことを話したりします。
だいたい一周、二周、三周…とやっていく中で治療が進んで症状が緩和されていきます。
恥をかくとか嫌われるということがすごく苦手だったりするので、そこを上手くフォローしてあげるということをします。
自分の気持ちを話すと自分でびっくりして泣き始めたりします。
自分の気持ちを言ったことでびっくりして来れなくなってしまうことが結構多いので、大丈夫、普通だよ、誰でも舌打ちくらいはするし、みんな同じようなことを思ってるんだからそんなことは気にしなくても良いというような話をします。
プライドが高かったりもするので、そこら辺も意識しながら治療にあたります。
本日は人前に立つことや人と接することが苦手な人に対する治療、社交不安症や回避性パーソナリティ障害の治療についてお話ししました。
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▼自己紹介
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。2020年6月5日より断酒継続中。
▼参考
厚労省みんなのメンタルヘルス www.mhlw.go.jp...
カプラン 臨床精神医学テキスト第3 www.medsi.co.j....
倫理規定について note.com/menta....
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