若松北海岸は北九州市若松区脇田(わいた)から岩屋にかけての海岸で、波の浸食による奇観や、白砂が続く海岸です。玄海国定公園の東端に位置します。玄海国定公園は福岡・佐賀・長崎三県の主に玄界灘沿岸の国定公園です。若松北海岸は響灘に面しています。響灘は東は山口県の西部から福岡県宗像市沖の地島(じのしま)、大島で玄界灘と接します。国定公園は玄海、灘は玄界と書きます。玄海は玄界灘の略名ともいわれています。実際は、玄海、玄界灘そして響灘も厳密に区別して使われている訳ではありません。
新しい漁港・漁村づくりを行い、地域の活性化を図り、都市住民と漁民との交流の場をつくるという水産庁が策定したマリノベーション構想に基づいて、響灘沿岸の漁港の整備を進める北九州市のマリノベーション事業が行われました。特に拠点漁港として脇田漁港については、漁業活動の基本施設の整備はもちろん、市民が自然と親しめる海洋性レクリエーション施設の整備、飲食やショッピングなどが楽しめる複合商業施設の整備が進められました。
国道495号線と県道277号頓田二島線の交差点から、海岸沿いの国道495号線を西に向かいます。次の交差点を右折して橋を渡り、ひびき海の公園に入って行きます。駐車場の前の施設は、2004(平成16)年に開設されたフイッシャーマンズワーフ 汐入の里 といいます。駐車場入口の西側に物産館があります。館内では、脇田漁港を中心に響灘で水揚げされた魚介類や、地元若松の農産物が販売されます。東隣にレストランがあり、結婚式場があります。
汐入の里の駐車場から東に行くと、橋が架かっています。その先は、プレジャーボートを係留する施設、脇田漁港フィッシャリーナが建設され、2012(平成24)年に供用が開始されました。フィッシャリーナの防波堤の上は遊歩道のサンセットロードとなり、その海側は人工磯になっています。汐入の里の西側は広場で、その先に芝生の多目的広場が隣接しています。芝生広場の北側に人工海浜がつくられています。砂浜では小さなお子さんも安心して遊ばせることができます。
ひびき海の公園は脇田漁港を境に北と南に分かれます。脇田漁港の横に駐車場があり、北に向かいます。駐車場の北側の響灘の海上に、脇田海釣り桟橋が伸びています。脇田海釣り桟橋は2001年(平成13)年にオープンしました。桟橋の途中にある休憩所にはトイレがあり、2階は展望室になっています。桟橋は全長500mで、北に200m行き、釣りができる所は休憩所の手前が150m、その先は北西に向けて150mの計300mです。休憩所から北方向に白島の2つの島が見えます。左が白島女島(めしま)で、右が男島(おしま)です。白島男島には、エネルギーの安全保障に対応するため、白島国家石油備蓄基地が、1996(平成8)年、10年以上を要して完成しました。防波堤に囲まれた泊地内の大型浮体式貯蔵船により、石油は備蓄されています。男島の右手に石油備蓄基地の施設が見えます。
海釣り桟橋の手前の西側は、脇田海水浴場です。脇田海水浴場の遊歩道を先に進むと、山手側に遊歩道のボードウォークがあって、そこから砂浜に降りて行くようになっています。脇田海水浴場の西端は、波の侵食で小さな洞穴になっています。その先の海岸も波に侵食されています。
国道495号線に出て西進します。2.5km程進むと、料亭の魚庵千畳敷の入口の先に、北九州市営バス停千畳敷海岸入口があります。そこを北に行き、魚庵千畳敷と同系列のレストランの横を通って海岸に出ると千畳敷です。満潮時には千畳敷を見ることはできません。干潮になると千畳敷は姿を現します。千畳敷は海岸段丘が波によって浸食されてつくられた景観です。姿を現した板状の巨大な岩、千畳敷の先端まで歩いて行けます。
千畳敷の西に遠見ヶ鼻が海に突き出ています。国道495号線を西に進みますと、すぐに遠見ヶ鼻の案内がある信号機がありますので、右折します。遠見ヶ鼻の東側、バス停岩屋入口から千畳敷を見ることができます。またそこから、波に浸食された遠見ヶ鼻の東海岸を見ることができます。突き当りのかんぽの宿の前を右に行くと、右手に鳥居があります。その先を下りて行きますと、崖にへばりつくように御嵜(みさき)神社があります。海岸近くの鳥居には「妙見社」と刻まれています。妙見信仰は、北極星を神格化した中国の思想に仏教の思想が入り、北辰妙見菩薩を信仰するものとなり、神道の天御中主神(あめのみなかぬし)と習合したといわれています。
最初の鳥居の所まで戻り、150mほど、防風のための保安林の中を進みます。木立を抜けると、妙見埼灯台が現れます。妙見埼は遠見ヶ鼻の別称で、社にちなんだ名称と思われます。1640(寛永17)年、福岡藩は外国船監視のため、岩屋に遠見番所を置きました。遠見ヶ鼻の名は遠見番所に由来します。後、各地の海岸に遠見番所が置かれました。監視体制を強化して岩屋の遠見番所は常置の遠見番所として、武士2人、足軽2人、船2艘が配備されました。遠見ヶ鼻は、夕日が海に没するのを眺めるのに絶好の場所です。ここには次のような話が伝わっています。
かって御嵜神社はこの遠見ヶ鼻の先端にあり、夫婦の神様が住んでいました。男の神様が美しい夕日に心を奪われました。女の神様がそれに嫉妬したため、沖で遭難事故が続発しました。そこで村人は、社を夕日が見えない現在の位置に移し、陸に向けて建てました。
かんぽの宿とバス停岩屋入口の間に右折の坂道があります。その坂道を下りて行きますと、遠見ヶ鼻の西側にある岩屋漁港に出ます。岩屋漁港の西には岩屋海岸が広がっています。砂浜は岩屋海水浴場です。岩屋海水浴場の西側の先方には芦屋町の夏井ヶ浜の建物、その先に狩尾岬が見えます。
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