第2章では阿弥陀森から大普賢岳に向かいます。
「第64靡 脇の宿」は、今では折れたモミの木の下に碑伝が納められているだけなので、つい通り過ぎてしまいがちですが、以前には逗留できる建物もあり、重要な宿地だったようです。
また「経筥石」も時間のない時はなかなか立ち寄らない所だと思いますが、時間に余裕があれば、訪れたい場所です。
ただし年によっては、倒木などで道が塞がれ、降りるのが困難な場合がありますので、無理は禁物です。今回も倒木で下りづらかったため、ロープ持参で安全を確保して下った次第です。
「第62靡 笙の窟」は「奥駈の道」から少し離れていますが、かなり以前から籠り修行が行われてきたことで有名で、ここに籠って修行することがいかに苛酷かは、こちらを訪れるとすぐに理解ができると思います。
普段の生活で、愚痴を言っている自分が情けなくなります。
なお小普賢岳と名付けられた山は、奥駈道沿いにある山と笙の窟へ向かう道沿いにある山と2座あり、「奥駈の道」に沿った小普賢岳が「第63靡 普賢岳」となります。
ただし「大普賢岳」でも第63行所として勤行が行われているようなので、おそらく以前には大普賢岳を中心としたこの山塊を「普賢岳」と呼んでいたのかもしれません。
この大普賢岳周辺を北や南の方向から見ると、サメの歯のように尖った険峻な山容になっており、昔から、人々を惹きつけてきたのではないでしょうか。
多くの修行者が修行の場を求めて、これらの山に入って行ったように感じます。
「奥駈の道」を歩く時は、自然を満喫しつつ、その歴史を感じながら歩くと、より味わい深い道になると思います。
引用文献
「ブッダのことば - スッタニパータ - 」 中村 元 訳 (岩波文庫)
参考文献
「大峯奥駈道 七十五靡」森沢 義信 著 (ナカニシヤ出版)
「熊野、修験の道を往く「大峯奥駈」完全踏破 」藤田 庄市 著 (淡交社)
「熊野修験の森 大峯山脈奥駈け記」宇江 敏勝 著 (新宿書房)
「大峰修験道の研究」宮家 準 著 (佼成出版社)
「和州吉野郡群山記 その踏査路と生物相」御勢 九右衛門 編著 (東海大学出版会)
「吉野と大峯 山岳修験の考古学」 森下 恵介 著 (東方出版)
「修験道要典」 服部 如實 編(三密堂書店)
「入峰の栞」総本山 聖護院門跡
「雑誌『神変』掲載の大峰四十二宿一覧資料について」小田 匡保 著(駒澤大学文学部地理学教室)
「西行・山家集」 井上 靖 著 (学研M文庫)
「西行和歌と仏教思想」金 任仲 著(笠間書院)
「新潮社日本古典集成 山家集」後藤 重郎 校注(新潮社)
「歓喜する円空」 梅原 猛 著(新潮社)
「円空と修験道」 水谷 早輝子 著 (まつお出版)
「円空の和歌(うた)―歌から探る人間像」(岐阜県歴史資料館)
「金谷上人行伏記 ある奇僧の半生」横井 金谷 著 藤森 成吉 訳 (東洋文庫)
「法華験記」沙門鎮源 著 山下 民城 翻訳 (国書刊行会)
「修験道入門」五来 重 著 (角川書店)
「修験道史研究」和歌森 太郎 著 (東洋文庫)
「三教指帰 性霊集 日本古典文学大系71」 渡邊 照広・宮坂 宥勝 校註 (岩波書店)
「大峯こぼれ話」銭谷 武平 著 (東方出版)
「大峯縁起」銭谷 武平 著 (東方出版)
「大峯の山と谷 奥吉野ガイドエッセイ」 小島 誠孝 著 (山と渓谷社)
などの文献を参考にさせていただきました。
Негізгі бет 世界遺産 大峯「奥駈の道」を行く - 七十五靡を通じて - 第2部 山上ヶ岳より弥山 第2章 阿弥陀森〜大普賢岳
Пікірлер