旧ソ連のアゼルバイジャンと隣国アルメニアの係争地をめぐる軍事行動は、攻撃を始めたアゼルバイジャンが勝利を宣言しました。事実上降伏したアルメニアでは、市民ら数千人が政府に対して抗議デモを行いました。
■そもそも、何が起きている?
デモ参加者
「我々は裏切り者である政府の退陣を求めます」
「怒りを感じます。そして恥ずかしいです。どうしてこうなったのか知りたい」
アルメニアの首都エレバンでは20日、アゼルバイジャンに対する“事実上の降伏”を受け、政府に抗議する市民ら数千人が抗議デモを行いました。
アゼルバイジャンが19日に開始を表明した係争地ナゴルノカラバフでの「対テロ作戦」と称する軍事行動。アルメニア側は少なくとも200人が死亡したとし、現地のアルメニア人系勢力は武装解除を受け入れ停戦に合意しました。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は「主権を回復した」と勝利宣言しました。
アゼルバイジャン アリエフ大統領
「アルメニア人地区はもともと私たち国民のものだった。私たちは正当な統治を脅かす者に対して、警告を与えた。また彼らの正当性は認めることができない」
■「ロシアは今アルメニアを失おうとしています」
一方、アルメニア国内の批判の矛先は政府以外にも…。
ロシア大使館にもデモ隊が押し寄せました。なぜ市民はロシア側に抗議したのか。
今回、軍事行動が行われたナゴルノカラバフは、アゼルバイジャン西部の自治州。住民約12万人の大多数がアルメニア人です。
旧ソ連が崩壊する1991年、アルメニア系住民が「ナゴルノカラバフ共和国」の樹立を宣言。アゼルバイジャンとの戦闘になりました。
1994年に停戦後、しばらくアルメニアによる実効支配が続きます。
しかし2020年、石油・天然ガスの開発を背景に軍事力を強めたアゼルバイジャンが、トルコを後ろ盾に大規模な攻撃を開始。この軍事衝突では6000人以上の死者を出し、ロシアの仲介で停戦しました。
ただ、アルメニアからすれば、アゼルバイジャンに支配地域の多くを奪還された形で、同盟国のロシアから十分な支援が得られなかったとして不満を募らせていたとみられます。
プーチン大統領は20日、アルメニアのパシニャン首相と電話会談し、ロシアの平和維持部隊の仲介で今回も停戦に至ったと自賛。アルメニア市民からは“ロシア離れ”が加速するという声も。
デモ参加者
「ロシアはウクライナ、モルドバ、ジョージアを失い、そして今、アルメニアを失おうとしています」
わずか1日で決着した今回の衝突。
アゼルバイジャンが軍事行動に踏み切った背景について専門家は…
慶應義塾大学 廣瀬陽子教授
「いま、ウクライナ(侵攻)の余波でアゼルバイジャンとヨーロッパの関係が非常に深くなっている。アゼルバイジャンは石油・ガスの産出国ですので、ヨーロッパがロシアからの輸入をやめるかわりに、かなりアゼルバイジャンに輸入先を振り替えているという現状がある。そういう意味でも、アゼルバイジャンは非常に強い立場にいる」
■なぜ“軍事衝突”?「ロシア」「トルコ」「ウクライナ戦争」
小川彩佳キャスター:
このナゴルノカラバフ紛争の背景を整理してもらえますか。
須賀川拓 前JNN中東支局長:
まず、アルメニアとアゼルバイジャン、2つの国があります。このアゼルバイジャンの中にナゴルノカラバフという地域がある。ここだけ見ると日本の視聴者の方には少しなじみが薄いんですけれども、地図を広げて周辺国を確認してみましょう。イラン、トルコ、ロシアといった、この地域の覇権を争ってきた影響力の強い国が出てくるんですね。中でも重要なのがトルコとロシアです。
小川キャスター:
ロシアはこの地域でずっと影響力を行使し続けてきた中で、アルメニアを支援しているわけですけれども、今回はあまりこの事態に介入しなかったんですね。
須賀川拓 前JNN中東支局長:
ロシアはアルメニアを支援していて、トルコがアゼルバイジャンを支援しているといった対立構図にあるわけですけど、ロシアがあまり介入をしてこなかった。
ウクライナとの戦争を最優先したいロシアは、黒海を通ってボスポラス海峡から地中海を抜ける航路が非常に重要になってきます。
ここはロシアにとっても、海上輸送の大動脈です。このボスポラス海峡をトルコに握られてしまっているということは、ロシアとしてもトルコを横目で見なくちゃいけない、あまりそこの緊張を高めたくないという思惑があるわけです。
小川キャスター:
敵対したくないという中で、大動脈を握られているわけですけれども、地域でのロシアの影響力が行使しづらくなっている。そして停戦合意に至ったということで、これは今後安定に向かっていくんでしょうか?
須賀川拓 前JNN中東支局長:
ここは慎重になる必要があると思っています。ナゴルノカラバフという場所にはアルメニア系の住人が非常に多く住んでいます。今回、一応停戦に合意はしていますが、ここに住んでいるアルメニア系住民の人権はどこまで保障されるか。
これ紛争でよくある話なんですけれども、紛争が…(newsdig.tbs.co...
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