第2部の最終、第5章では「一の多和」から、いよいよ「弥山」へ向かいます。
この道中では今まで南に向かって進んできた「奥駈の道」は、「一の多和」辺りからほぼ西に向かって弥山へと進んで行きます。
「第55靡 講婆世宿」まではあまりきつい上り下りはなく、比較的歩きやすい道で、樹林帯の中を行く感じとなります。
「第55靡 講婆世宿」からは、以前は尾根に沿った急登の「胸突八丁」で、弥山小屋まで結構辛い上りだったのですが、今は新道ができ、少しましになっています。
「山上ヶ岳」を朝出発して、奥駈の山々を巡って、この日最後の行程の「胸突き八丁」が、いつも結構辛かった記憶が蘇ります。
ここから弥山小屋までに2箇所絶景ポイントがあり、晴れると素晴らしい展望が体験できます。
高度が上がると、針葉樹が目立ち始め、植生の変化がよく分かります。
弥山小屋に着くと、小屋の東には「国見八方覗」の熊野灘から大台・大普賢方面まで望める絶景ポイントがあり、日の出の時間帯が特に素晴らしく、厳かな雰囲気を味わえる場所です。
弥山山頂には「天川大弁財天社」の奥の院(奥宮)「弥山弁財天社(弥山神社)」があり、平安時代の出土品も発見されており、古い時代から信仰の山として崇拝されてきたことが窺われます。
「奥駈の道」から外れていますが、「天川大弁財天社」にも訪れています。
大峯山系の中で、標高も高く台形の広大な山容を持つ山は弥山ぐらいしかないので、近世以降に「須弥山」に例えられるようになったのかもしれません。
願わくば、山頂部分に残る針葉樹の貴重な原生林の森を、なんとか後世に残していきたいものです。
引用文献
「ブッダのことば - スッタニパータ - 」 中村 元 訳 (岩波文庫)
参考文献
「大峯奥駈道 七十五靡」森沢 義信 著 (ナカニシヤ出版)
「熊野、修験の道を往く「大峯奥駈」完全踏破 」藤田 庄市 著 (淡交社)
「熊野修験の森 大峯山脈奥駈け記」宇江 敏勝 著 (新宿書房)
「大峰修験道の研究」宮家 準 著 (佼成出版社)
「和州吉野郡群山記 その踏査路と生物相」御勢 九右衛門 編著 (東海大学出版会)
「吉野と大峯 山岳修験の考古学」 森下 恵介 著 (東方出版)
「修験道要典」 服部 如實 編(三密堂書店)
「入峰の栞」総本山 聖護院門跡
「雑誌『神変』掲載の大峰四十二宿一覧資料について」小田 匡保 著(駒澤大学文学部地理学教室)
「西行・山家集」 井上 靖 著 (学研M文庫)
「西行和歌と仏教思想」金 任仲 著(笠間書院)
「新潮社日本古典集成 山家集」後藤 重郎 校注(新潮社)
「歓喜する円空」 梅原 猛 著(新潮社)
「円空と修験道」 水谷 早輝子 著 (まつお出版)
「円空の和歌(うた)―歌から探る人間像」(岐阜県歴史資料館)
「金谷上人行伏記 ある奇僧の半生」横井 金谷 著 藤森 成吉 訳 (東洋文庫)
「法華験記」沙門鎮源 著 山下 民城 翻訳 (国書刊行会)
「修験道入門」五来 重 著 (角川書店)
「修験道史研究」和歌森 太郎 著 (東洋文庫)
「三教指帰 性霊集 日本古典文学大系71」 渡邊 照広・宮坂 宥勝 校註 (岩波書店)
「大峯こぼれ話」銭谷 武平 著 (東方出版)
「大峯縁起」銭谷 武平 著 (東方出版)
「大峯山脈と其渓谷」中川 秀次・冨川 清太郎 共著(朋文堂)
「大峯の山と谷 奥吉野ガイドエッセイ」 小島 誠孝 著 (山と渓谷社)
などの文献を参考にさせていただきました。
Негізгі бет 世界遺産 大峯「奥駈の道」を行く - 七十五靡を通じて - 第2部 山上ヶ岳より弥山 第5章 一の多和〜弥山
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