前八寸 幹事 高木和也
「新玉葱豆腐」「粽寿司」「鶏粕味噌漬け」「栄螺きんつば」「小女子の新茶揚げ」
今回は端午の節句がお題ですので、旬の食材を使用し、見た目も季節を感じとっていただけるような前菜を考えました。まずは「新玉葱豆腐」です。新玉葱を厚さ2mm位に庖丁をして流水に晒した後、鍋にバターを少々入れて、玉葱300gを焦がさないように炒め、出汁をひたひたに入れます。そこに御飯50g加えてとろみが付くまで煮詰め、粗熱を取りミキサーにてペーストにします。鍋に先のペースト、豆乳400ccを加えて塩・味醂で味を調え、戻した板ゼラチン6枚分を加え、流し缶にて冷し固めます。生雲丹には軽く塩を当てておきます。出汁・薄口醤油・味醂・塩にて味を調え、水溶きのタピオカ粉を加えて銀餡を作ります。冷ました後、頃合いに庖丁した新玉葱豆腐に先の雲丹を乗せて供します。
「粽寿司」は、鯵を水洗いして三枚におろし、骨を抜いた後、振り塩をして30分置きます。玉酒で洗い、水気を取った後、酢に20分漬けて酢〆とします。蕗は板ずりをした後、ボイルして2mm位の厚さに庖丁して出汁昆布に並べ、5時間昆布〆とします。ラップに蕗を並べて先の鯵を乗せ、寿司飯にひねり胡麻を加えて棒寿司にし、粽寿司にします。
「鶏粕味噌漬」は、鶏胸肉を掃除した後、振り塩を2時間当て、大根卸しで包み、バットに乗せてラップをしてスチームコンベクション72℃で1時間蒸して冷まします。板粕600g、白味噌400g、煮切り酒100ccにて味噌床を作ります。大根卸しを取り除いた先の胸肉をガーゼで包み、味噌床に2日間漬けます。みじん切りにした長葱を鍋で炒めた所に田楽味噌を加えて葱味噌とし、先の鶏胸肉を庖丁して葱味噌を乗せます。
「栄螺きんつば」は、栄螺を剥き身にして、卸し金にて擦り卸します。卸しにくい所は細かく刻み、先の胸肉で使用した大根卸しを300g、卸した栄螺50g、刻んだ栄螺30g、片栗粉80gを混ぜ合わせ、塩・味醂・薄口醤油にて味を調えて流し缶に入れ、90℃のスチームコンペクションで1時間蒸し、大根餅のように仕上げました。後に庖丁して打ち粉をしてをおきます。白玉粉10g、水80g、砂糖15g、薄力粉55gを混ぜ合わせて生地を作り、フライパンにて全面を焼いてきんつばに見立てます。
小女子は水洗いをした後、腹開きとします。3%の立塩に酒、昆布を加えて15分漬けた後、水気を取り、半日風干しにします。パン粉100g、新茶10gを当り鉢にて良く当たって振るいにかけます。先の小女子に打ち粉をし、天麩羅衣で先の新茶パン粉を付けて160℃の油で揚げます。
今回のポイントは粽寿司です。色々な粽があると思いますが、考えている時にバッテラ寿司をふと思い浮かべました。何か似たような寿司にできないか、旬の食材を調べているうちに、この発想を思い付きました。食べてみると蕗の食感と昆布〆にしたことで、昆布の味もしっかり入り、バッテラ寿司に似た棒寿司にできたと思います。
■関西調理師永朋舎の会報月刊『永朋』は技術技能の向上を目指す調理師のための情報誌です。献立づくりや料理のヒントになる写真や絵献立、中でも団体及び業界誌を含め、第一線で活躍する最も実践的な内容を誇る「旬感」は唯一無二の企画として定評があります。
技術部・企画部・編集部を中心に各部と青年部が総力を上げて実行し、一人の献立ではなく六人の会員が、毎月題材を決めて前菜・お椀・焼物・煮物・揚物・酢の物など(造りは除く)の作品を持ち寄り、実際に試食をして意見や感想を述べ合う勉強会です。また毎回、副会長、上席相談役、理事長、幹事長、副理事長が一名アドバイザーとして出席し、指導的な立場でアドバイスします。
日本料理の伝統的な食文化を踏まえながら、季節の素材を吟味し、また新しい食材を取り入れたり、思い思いの創作料理を持ち寄るという、まさに料理人として切磋琢磨する恰好の舞台でもあります。
Негізгі бет 「旬感」四月の持寄り料理「前八寸」編
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