Yuji Takahashi (b: 1938)
高橋悠治: オルフィカ
すべての物事が過ぎ去っていき、すべての物事が還ってきて、存在の車輪は永遠にまわる (ニーチェ)
Ⅰ.オルフォイスは、アポロンとディオニソスというまったく対立的な二つの教義のあいだにあって、最初の音楽家であり、瞑想家であった。
Ⅱ.オルフィスム(Orphism)は、創成前のカオス(混沌)からの宇宙発生論を信条としてもっているが、また霊魂の輪廻転生説(誕生の車輪)をも、ふくみもっている。
音楽は輪廻転生の循環を止める。そしてまた、洞穴から脱出する途を探そうとする魂のための触媒でもある。
この作品の構造は、グリッサンド(音の直線)、オッシレーション(音の波動)、スタッカート(音の点)、トレモロ(音の連続する点)それにレガート(音の折線)といった五つの複合体によって基礎づけられている。
そしてこれらは15のトリプレットと三つのインターフェランスによって構成されている。ここでのトリプレットとは、ことばについての三つの連続する語句の複合体のフォルムをいう。これはAAA、あるいはAABといったような各要素の直列的な反復をとりのぞくことである。そしてまた、ことばの重複を抑制する(たとえば、ABCということばが繰り返されるとしよう。そのとき重複されることばは、BCAとか、CABというようになされるわけである)。
こうして、ここでは20の”句読点のないことば”というものを手にすることになる。この20のうちの15のトリプレットと、それらの間に三つのインターフェランスがもちこまれている。
なお強弱、持続、密度といった補助的な構造は、以上とまったくおなじやり方で、それぞれ確定されている。
作曲にあたって、そのデテールのすべは、バッファローのニューヨーク州立大学コンピューター・センターの電子計算機CDC6400を使って演算された。(髙橋悠治、秋山邦晴・訳)
NHK Symphony Orchestra
Hiroyuki Iwaki, conducting
Recorded: 22th, March, 1970
Негізгі бет Yuji Takahashi [高橋悠治]: Orphika (1969)
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