#やさしい日本語 #EasyJapanese
N4レベルで読める読み物です。
冒頭使用の楽曲は、こちらからお借りしています。
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スクリプトーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注文の多い料理店 A Restaurant Having Many Orders Wildcat House
宮沢賢治
男が二人、大きな犬といっしょに山の中を歩いていました。
どちらも銃を持っています。
最初は、地元の猟師が案内していました。でも、とても悪い山でしたから、やがて猟師はいなくなってしまいました。
「この山は、よくないですね。動物や鳥が、ぜんぜんいません」
「そうですね。なにも殺せませんから、おもしろくないですね」
急に、犬たちは病気になりました。そして、二匹とも死んでしまいました。
「ああ、この犬は高かったのに」
「わたしの犬も、高かったです。残念ですね」
二人は、がっかりして、元気がなくなりました。
「もう帰りたいです。とても寒いし、お腹も空きました」
「わたしもです。もう歩きたくないです」
その時、二人は家を見つけました。その家の入口に、看板がありました。
RESTAURANT レストラン
WILDCAT HOUSE 山猫軒
「ちょうどいい。このレストランに入りませんか」
「ええ、入りましょう」
二人はレストランに入りました。
また看板がありました。
どうぞ、入ってください。このレストランの食べ物は、無料です。
特に、若い人や、太っている人は、大歓迎です。
「レストランなのに、無料ですよ」
「今日は一日中大変でしたが、最後についていましたね」
二人は廊下を歩きました。また、看板がありました。
このレストランは、注文が多いです。わかってください。
「人気があるようですね」
「そうですね。こんな山の中なのに、お客さんが多いんですね」
二人は部屋のドアを開けました。また、看板があります。
このレストランは、注文がとても多いです。本当に、すみません。
「おかしいですね」
「ええ。でも人気がありますから、いろいろ大変なんでしょう」
「そうですか。わたしはとても疲れましたから、はやく座りたいです」
またドアがありました。ドアの近くに、鏡とブラシが置いてあります。
ここで髪を整えてください。それから、靴の泥を落としてください。
「ずいぶん厳しいですね」
「とても偉くて有名な人が、たくさん来るんでしょう」
二人は髪を整えて、靴の泥を落としました。それから、次の部屋に入りました。
ここに銃を置いてください。
黒い台がありました。
「なるほど。銃を持って入ってはいけませんね」
二人は、銃を台の上に置きました。
また、ドアと看板がありました。
帽子とコートと、靴を脱いでください。
「うーん、脱がなければなりませんか」
「しかたがないですね」
二人は、帽子とコートと靴を脱ぎました。それから、次の部屋に入りました。
ドアの後ろに、また看板があります。
財布やハンカチなど、持っているものを全部ここに置いてください。
ドアの隣に、金庫があります。
「あとで、ここでお金を払うんでしょうか」
「ええ、きっとそうでしょう」
二人は、ポケットから財布やハンカチを出しました。それから、持ち物を全部金庫に入れて、鍵を掛けました。
また、ドアがありました。ドアの前に壺があります。
壺の中に、ミルクのクリームがあります。
顔や手などに、つけてください。
「変ですね。どうしてですか」
「外はとても寒いですからね。親切なレストランなんですよ」
二人は、とてもお腹が空いていましたから、ミルクのクリームを食べてから、顔や手などにつけました。
またドアがありました。
料理は、もうすぐできます。
食べる前に、あなたの頭に香水をつけてください。
ドアの前に、香水の瓶があります。二人は香水を頭につけました。
「あれ? 酢の匂いですね」
「レストランの人が間違たんでしょう。これは本当に酢ですね」
二人はドアを開けて、中に入りました。
また、看板と壺があります。
最後の注文です。壺の中の塩を、あなたの体に、たくさんつけてください。
二人はびっくりしました。そして、お互いの顔を見ました。
「この注文は、絶対におかしいです」
「わたしも、そう思います」
「このレストランの注文は、もしかして、お客さんの注文じゃなくて……」
「ここの料理は、もしかして、お客さんを……」
「つ、つまり、わたしたちを料理して、食べるんじゃ……?!」
二人は、震えました。
「に、逃げなければなりません」
ドアを押しましたが、ぜんぜん開きません。
部屋の奥に、看板がありました。
料理ができました。さあ、入ってください。
ドアの鍵穴から、青い目が二つ、二人を見ています。
「うわあ!」
二人は怖くて、泣きました。
奥の部屋から、声が聞こえます。
「ダメだね、気が付いてしまったようだ。塩をつけないね」
「あたりまえだよ。看板の言葉が、とても下手だ」
「どうでもいい。料理ができても、親分は分けてくれないんだから」
「そうだな。でも、もし二人がこっちに来なかったら、どうする」
「来るように呼ぼう。おうい、お客さん、お客さん、早くこちらへ来てください。お皿を準備しました。野菜もあります。あとは、あなたたちと混ぜるだけです」
「サラダが嫌いですか。フライのほうがいいですか。じゃあ、今から油を温めましょう」
二人は、泣いて、泣いて、泣いて、泣きました。
そのとき、後ろから急に「ワンワン!」
大きい犬が二匹、部屋に入って来ました。犬たちは死んでいませんでした。二人を助けに来たのです。
犬たちは、奥のドアに飛びつきました。ドアが開きました。
急に電気が消えました。
大きい音が聞こえました。
レストランは、消えてしまいました。気が付くと、コートや靴や財布が、あちらの枝にかけてあったり、こちらの根もとに置いてあったりします。
犬が「ワンワン!」と吠えました。
「おうい、おうい!」猟師の声がします。
二人は急に元気になって、大きい声で呼びました。
「ここだ! ここだ! たすけてくれ!」
猟師を見て、二人はやっと安心しました。
お互いを見ると、どちらも顔が、白くなっていました。
二人は東京へ帰りました。でも、二人の顔の色は、なおりませんでした。
おわり
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