Tōkaidōchū Hizakurige (東海道中膝栗毛), abbreviated as Hizakurige and known in translation as Shank's Mare, is a comic picaresque novel (kokkeibon) written by Jippensha Ikku (十返舎一九, 1765-1831) about the misadventures of two travelers on the Tōkaidō, the main road between Kyoto and Edo during the Edo period.
The two main characters, traveling from Edo to Kyoto on their pilgrimage to Ise Grand Shrine, are called Yajirobē (彌次郎兵衛) and Kitahachi (喜多八). Hizakurige is comic novel that also provides information and anecdotes regarding various regions along the Tōkaidō. Tourism was booming during the Edo Period, when this was written. This work is one of many guidebooks that proliferated, to whet the public's appetite for sight-seeing.
スクリプトー-----------
由比川を渡って、峠を越えると、雨になりました。合羽を着て笠を深く被って、急いで歩きましたから、有名な田子の浦もぜんぜん見ることができませんでした。江尻をすぎて、ようやく雨が止みました。弥次さんと喜多さんの前を、客を乗せた馬が歩いていました。その馬方が二人を見て言いました。
「あんたたちも江戸から? 俺は昨日も今日も、江戸から来た客を乗せているんだ。江戸の人はみんな親切だね」
「はあ、そうですか」
「昨日の客は静岡から江尻まで300で乗せたんだよ。でも、それじゃ安いと言って、500もくれたんだ。その客は俺に酒を買ってくれて、最後にまた、お礼にと言って200くれた。いやぁ俺はね、江戸の客が大好きだよ」
馬の上を見ると、客は鼾をかいて寝たふりをしています。
「お客さん、馬の上で寝たら危ないですよ」
馬方が言うと、客は目を開けました。
「ああ、馬が遅いから寝てしまった。私は昨日も今日も馬に乗っているが、昨日の馬は良かった。馬方もいい人だった。三島から沼津まで150払ったが、彼は『速い馬ですみません。こんな馬の上では安心できなかったでしょう』と言って、代金を全部返してくれた。それから『お尻が痛くなったでしょう』と言って、馬を降りてちょっと休んでいる時に酒を買ってくれた。とてもいい馬方だったよ」
それを聞いた馬方は、すっかり黙ってしまいました。弥次さんと喜多さんは、目を合わせて笑いました。
静岡の宿に着きました。すぐに弥次さんの友達の家へ行って、たくさんお金を借りることができました。弥次さんと喜多さんは嬉しくなって、宿に入って荷物を置きました。
「さあ、遊郭へ行きましょう!」
安倍川町に遊郭の大門ががあって、三味線の音がにぎやかでした。江戸の吉原と同じで、いろいろな人がいました。いい着物を着ている客、その客を案内する茶屋の女、安い着物を着ている人は店に入らない冷やかし客です。派手な着物を着ているチンピラたちが、客にぶつかりました。
「おい、なんだおまえ。俺たちと喧嘩したいのか」
「いいえ、すみません!」
その客はすぐ逃げてしまいました。チンピラたちは格子の向こうの遊女たちを見て、その顔や着物について悪口を言い始めました。弥次さんと喜多さんも、彼女たちを見ました。
「うん、そんなに悪くないな。よし、ここに入りましょう。私は壁側の娘にする。おまえは?」と弥次さんが言いました。
「じゃあ、私はあの娘」と喜多さんが言いました。
他の客に続いて店に入ると、すぐに店の男が二人を二階に案内しました。
見ると、部屋には楽器や花があります。吉原のちょっといい店とほとんど同じです。でも、ここは酒や食べ物が別料金でした。
弥次さんは男に酒を頼みました。やがて選んだ遊女たちが来ました。弥次さんの相手は小笹野、喜多さんの相手は砂川という女で、どちらも派手で高い着物を着ていました。
小笹野は笑顔で弥次さんに煙草を勧めました。でも、砂川は顔をゆがめて言いました。
「ああ腹が立つ。あの子、また私の煙草の準備を忘れている。小雨、小雨!」
遊郭の遊女は客と恋愛ごっこをして、客に女の扱いを教えます。初めて来た客には自分が火をつけた煙草を勧めて、それから結婚式と同じように同じ盃でお酒を飲むのがルールです。その煙草を、見習の娘が準備していなかったのです。
小雨が走ってきて言いました。「あの、今吉野屋さんから、磯次さんが来たと…。小笹野姉さんに用事があると言っています」
「私に? わかった。今行くわ」
小笹野が言いましたから、弥次さんは慌てました。
「え? ちょっと…。あ、ほら、酒が来たよ」
「あら、じゃあお酒を注ぎますね。今からあなたは、私の夫」
そのとき、急に廊下がにぎやかになりました。
男が一人「すみません、すみません!」と叫んで奥へ走りました。 続いてたくさんの遊女たちがその男を追いかけました。
喜多さんが「なに、あれ」と聞くと、砂川が答えました。
「何でもないですよ。誰かが浮気した客を見つけて、連れて来ただけです」
遊女と客は、一度仲良くなったら夫婦と同じで、他の遊女と仲良くしてはいけないのです。浮気した客は、遊女たちに恥ずかしい罰を受けなければなりません。
「これはおもしろい」
弥次さんは襖を開けて、廊下の奥を見ました。
大勢の女たちが一人の男を囲んでいます。
「あなた、ずっとこっちへ来なかったのに、丁子屋の女のところへは行っていたのね」
「常夏姉さんはずっとあんたを待っていたのに、他の女に通っていたなんて。姉さんが怒るのも当たり前よ!」
客は田舎臭い中年男でした。
「すみません。昨日も一昨日も来たかったんですが、丁子屋の近くに用事があって…いや、浮気はしていない! 誤解だ!」
「嘘つき! 丁子屋の花山という遊女を何回も買ったんでしょ。見た人がいるのよ。この浮気者!」
こちらの遊女の名前は常夏、この店の人気の遊女です。
「野暮さん、あなたには、浮気したらどうなるか、わかってもらいます。さあ、夏菊さん、剃刀を持ってきて」
客はビックリして頭を隠しました。
「いや、ちょっと待って、やめて!」
「さあ、常夏姉さん、やってしまいましょう」
他の遊女たちが男を押さえつけました。
「本当にやめて。お願い! 私の髪はもうほとんどないんだ! 許して」
「いいえ、許しません」
遊女たちが男の髪を引っ張ると、それはカツラでした。残っている髪は本当に少なかったですが、遊女たちはそれを全部剃ってしまいました。
「ああ...」男は髪がなくなった頭を抱えました。「カツラを…返して」
遊女たちはそれを見て笑いました。
「これでもう他の女のところへ行くことはできないでしょう」
「もう行かないよ。だから、返して」
男はカツラを返してもらって頭にかぶると、ため息を吐きました。
「ああ…、ひどすぎる」
見ていた弥次さんは、静かに戸を閉めました。
「去年の春、吉原の勝山が金持ちの客に同じことをやっていた。
あれは恥ずかしいな」
「マナーは守って遊ばないとね」と喜多さんも言いました。
やがて店の男が来て言いました。「床の準備ができました」
それでその晩は久しぶりに、弥次さんと喜多さんは別々の部屋で寝ました。
-----------------------------------------つづく
Негізгі бет Learn Japanese Through Yaji & Kita's Travels (N5):東海道中膝栗毛7 由比-静岡/#7 Yui to Shizuoka
Пікірлер: 4