Tōkaidōchū Hizakurige (東海道中膝栗毛), abbreviated as Hizakurige and known in translation as Shank's Mare, is a comic picaresque novel (kokkeibon) written by Jippensha Ikku (十返舎一九, 1765-1831) about the misadventures of two travelers on the Tōkaidō, the main road between Kyoto and Edo during the Edo period.
The two main characters, traveling from Edo to Kyoto on their pilgrimage to Ise Grand Shrine, are called Yajirobē (彌次郎兵衛) and Kitahachi (喜多八). Hizakurige is comic novel that also provides information and anecdotes regarding various regions along the Tōkaidō. Tourism was booming during the Edo Period, when this was written. This work is one of many guidebooks that proliferated, to whet the public's appetite for sight-seeing.
スクリプトー-----------
「箱根名物、甘酒いかがですか」
関所を通ってしばらく歩くと甘酒屋がありました。
「弥次さん、ちょっと休みましょう。おじさん、一杯ください」
喜多さんは店先の椅子に座りました。
「ああ、甘くて美味しい。弥次さんも飲まない?」
「ううん、その茶碗の形が好きじゃない。葬式で使う茶碗の形だ」弥次さんは文句を言いました。
「そうだね。じゃ、これにご飯でも入れてもらったら?」
「そうしよう。おじさん、漬物ある?」
弥次さんはご飯と漬物をもらって、簡単に食事しました。
お金を払って店を出ると、きれいな女性が5人来ました。地方大名が江戸へ連れて行く女中たちです。
「きれいな人たちだね。あ、そうだ。白い手拭をかぶったら色白に見えて、男前に見えると聞いたことがある。本当かな」
喜多さんは白い布をかぶりました。すると、女中たちがみんな喜多さんを見て笑いました。
「ほら、嬉しそうに笑っている。みんな男前の私に惚れたね」
喜多さんは喜びましたが、弥次さんが言いました。
「おい、その紐は何だ。それは手拭じゃない。褌だ」
「えっ? くさいと思った。これ、褌だ!」
「おまえ、昨日風呂に入った時に懐に入れてそのまま忘れたんじゃないの? 今朝それで顔を拭いていたよね、汚い男だな」
弥次さんは笑いました。「喜多さんはケチだからいけない。私の褌は絹だから絶対間違えないよ」
「絹の褌? 将軍様でもないのに、馬鹿じゃないの? 旅の恥は掻き捨てだから私はいいんだよ」
喜多さんは恥ずかしくなって、怒って言いました。
またしばらく歩いていると、同じ方向へ行く人がいました。
「あなたたちは、どこから来たんですか。私は十吉と言います」
「江戸の神田ですよ。私は弥次、こっちは喜多さんです」
「神田ですか。知っていますよ。神田の、どのあたりですか」
「八丁堀です。角に大きい屋敷があるでしょう? 私の家は、あそこですよ。普通は若い人を何人も連れて歩くんですが、それじゃ不自由ですからね。今回は、この喜多さんだけを連れています」
弥次さんは適当なことを言いました。
「へえ、あの屋敷の人ですか。金持ちなんですね」
「ははは、そんなに金はありませんけどね。十吉さん、今晩どこに泊まるんですか。私達と一緒に泊まりませんか」
「いいですね」
それから3人で歩きました。しばらく行くと、子どもたちがスッポンをいじめて遊んでいました。
「ねえ弥次さん。あれ、スッポンだよ。あれを買って宿に持って行って、今晩料理してもらいましょう」と喜多さんが言いました。それで、弥次さんは子どもからスッポンを買って、藁縄で縛って持ちました。
すっかり暗くなってから、三島に着きました。三人は適当な宿に入って、足を洗いました。
「お風呂の準備ができました」と宿の女中が言いました。弥次さんが風呂に入って、次に十吉が風呂へ行きました。宿の主人が宿帳を持って来ました。
「みなさんの住所と名前をお願いします」
「私の住所は大阪、名前は天川屋義平です」喜多さんは、有名な物語の登場人物の住所と名前を言いました。
「そうですか。あなたは?」と主人が弥次さんに聞きました。
「私は京都の、山崎与市兵衛です」
これも、同じ物語の登場人物です。
「与市兵衛さんですか、なるほど。婿の勘平さんは、どうしましたか。最近見ませんが」
宿の主人はすぐわかって、弥次さんの話に乗りました。
「勘平は、数年前に死にました。まだ若かったんですが…」
「それはお気の毒。ところで猪はどこへ行ったんでしょうね」
「えっ、猪? あっ、ええと…」
「さあ冗談はこのくらいにして。そろそろ晩御飯を持って来ましょう」主人は女中たちを呼びました。
「くそっ、遊ばれた!」弥次さんは悔しくなりました。
女中が晩御飯を持って来ました。
喜多さんが「私達は今晩男だけだから、ちょっと寂しいんだよね」と言うと、女中は意味がわかって応えました。
「私の田舎から来た若い飯盛女が二人います。呼びましょうか」
「その娘たち、かわいい?」
「べつに、普通です」
「うーん、普通かぁ...。呼んで」
「じゃ、すぐに呼びますね」
女中が部屋から出て、十吉が戻りました。
「女を呼ぶんですか?」
「そうだよ。十吉さん、あんたはどうする?」
「私はあの女中がいいな」十吉は女中と話しに行きました。
しばらくして、若い飯盛女が二人来ました。すぐに、一人がもう一人の女の髪を見て言いました。
「あんれ、タケさん、その簪、どうしたのォ」
「これけ? うちの店の若い娘が男に買ってもらったって自慢すっからさァ、悔しくて自分で買ったのさァ」
女中が話に入りました。「おんやツメさん、あんたもいい櫛つけてんねェ。自分で買ったのけェ、ちょっと見せて」
「おらやァだ」
「あら、あんたコレ、辻の太郎左衛門さんの家紋じゃないのさ。あんたたちそいういう仲だったの?」
「バレちゃったァ、恥ずかしなァもう!」
田舎の方言で3人だけで話しますから、弥次さんも喜多さんも十吉も、黙って晩御飯を食べました。
しばらくして、女中が気が付きました。「ああ、すみませんね、私達だけで喋って。食事が終わりましたか。じゃ布団の用意をしますね。みなさん寝巻に着替えてください」
それでみんなでお膳を片付けて、布団を用意しました。それぞれの布団の間には小さい屏風を置きました。
「おらたちは田舎者だで、江戸の人と喋るのも恥ずかしいなァ」とタケが弥次さんの布団に入って言いました。
「いまさら何を言う。今晩は寒いから、もっとこっちへおいで」
弥次さんはお腹に巻いていた財布を外して、布団の下に隠しました。それから蝋燭の火を消しました。
真っ暗になってしばらくしてから、隅に置いていたスッポンが縄を切って動きました。喜多さんに近づいて布団に上りました。
「ん? なんだコレ…、うわぁ!」喜多さんはビックリして、スッポンを掴んで投げました。
「痛っ!」
スッポンは弥次さんの顔に当たりました。弥次さんも慌てて掴みましたが、スッポンが指を噛みました。
「痛たたたたたっ! 誰か灯りをつけて!」
みんなビックリして無茶苦茶に動きましたから、屏風が倒れて、襖が壊れて、部屋はぐちゃぐちゃになりました。
そのとき、十吉は弥次さんの財布からお金を全部とりました。この男は、普通の旅人に見えますが、実は泥棒だったんです。
「あ、スッポンだ!」女中が蝋燭をつけてから、弥次さんは自分の指を噛んでいるスッポンを見て驚きました。
「そりゃ水ん中に入れなされ」タケが言いました。それで弥次さんは急いで外に出て、桶の水の中に手を入れました。すると、すぐにスッポンは指から離れました。
「やれやれ」弥次さんはホッとしましたが、喜多さんは「おもしろかった。こんな珍しい経験はなかなかできないよ」と笑いました。それからみんなで部屋を片付けて、また寝ました。
朝、女中が朝御飯を持って来ました。
「あら、もう一人のお連れさんは、どこへ行ったんですか」
見ると、十吉がいません。十吉の荷物もありません。
「あいつ、私達に何も言わないで出発したのかな」
「あっ!」と喜多さんが大きい声を出しました。「弥次さん、財布の中身は大丈夫?」
弥次さんも気が付いて、急いで自分の財布を確認しました。
「あっ! お金が無い! 盗まれた! おい女中、主人を呼んで! はやく、はやく!」
女中が急いで主人を呼びに行きました。
主人が来ると、弥次さんはすぐに怒鳴りました。
「おい主人! なんで十吉がもう出発しているんだ」
「いないんですか? 私はずっと表にいましたけど見ませんでしたよ。たぶん裏口から出たんでしょう」
「なんだと? 私は金を盗まれた。この宿で盗まれたんだ。あの男が泥棒だと、あんた知っていたはずだ。責任を取って、金を返して」
それを聞いて、主人も怒鳴りました。「そんなバカな! こちらが相部屋を頼んだならわかりますが、あなたたちが連れてきた男ですよ。私が知っていたはずがないでしょう! 八つ当たりしないでくださいよ!」
「そうだよ、弥次さん」と喜多さんも言いました。「主人のせいにしても仕方がないよ。さあ、とりあえず、朝御飯を食べましょう」
「食べたくない。もう江戸に帰りたい」
弥次さんは泣きました。それから二人は残っているお金を集めて、なんとか宿代を払いました。
「静岡には知り合いがいるから、頼んでみる。とりあえず静岡までは一文無しで行きましょう」と弥次さんは言いました。
二人とも、すっかり元気がなくなって、とぼとぼと歩きました。
---------------------------------------つづく
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